中・卒業式の断罪劇
俺はこの国の王子だ。
神に選ばれた少数の人間。
そして神に選ばれたこの俺が選んでやった女が、今 隣にいる彼女だ。
純粋で素朴で、彼女といると心が安らぐ。
貴族どもの、王子の俺の権力に取り入ろうとする、欲にまみれたクズどもの目とは違う、清らかな瞳。
俺のものだ。
この女は俺だけのものだ。
他の誰にも渡さない。
だが、この女を完全に俺のものにするには、邪魔な人間がいる。
俺の婚約者の公爵令嬢だ。
顔だけは良いので婚約者に選んでやったが、すぐにつまらない女だと分かった。
俺の気を惹こうと色々していたようだが、ありきたりで下らない事ばかり。
だが、他の羽虫のような女どもが俺に近付いてこないようにするのに都合がよかったので、今まで婚約者のままにしておいてやっていた。
しかし、もう必要ない。
俺は愛する女を手に入れる。
あの女は用済みだ。
神に選ばれた俺の言葉で、あの女はこの地を追放され、修道院に入ることになるのだ。
「貴様との婚約を破棄する!」
「……うぅっ……うぅううっ……」
泣いているのか?
ふん。
女はなにかあればすぐに泣けばいいと思っていやがる。
嗚咽を漏らす公爵令嬢に俺は言ってやる。
「罪を悔いようとも、貴様の処遇は変わらない。俺は貴様との婚約を破棄し、彼女を婚約者とする。そして貴様は修道院に入ることになるのだ。そこで一生 自分の行いを反省するがいい」
「……ひどい。王子は わたしの全てを奪ったのに……」
奪った?
「なんのことだ?」
「とぼけないでください!」
突然 大声を上げる公爵令嬢。
「いいでしょう! 貴方がそうおっしゃるなら わたしにしたことを全てみなさんに聞いていただきます!」
「だから なんの話だ?」
なんだ この女は?
なにを言い出すんだ?
「最初はファーストキスです! あれはいったいなんのつもりだったのですか!」
ファーストキス?
俺はこの女とキスなんかしたことないぞ。
そうか、わかったぞ。
この女、俺が不埒な事をしたと言って、責任を取れとか言う気だな。
ふん、浅はかな真似を。
温室育ちの公爵令嬢の考えることなど 可愛いもの。
すぐに化けの皮が剥がれる。
いいだろう。
聞いてやろうじゃないか。
公爵令嬢の考える不埒な行いとやらを。
「貴方は わたしの初めてが欲しいというから、わたしは貴方にキスを捧げました。
そこに貴方は舌を入れてきたのですよ!」
ぬっ。
公爵令嬢のくせに意外と知識だけはあるのだな。
しかし、その程度だろう。
そこから先の事などたかが知れている。
「貴方は わたしの口の中を舐めまわし、しかも わたしにも同じ事をしろと言ってきました。そして最後は わたしに舌を思いっきり出させて、べろべろと舐めまわして。
あれはディープキスではなくベロチューというのです!
ファーストキスがディープキスどころかベロチューだなんてあんまりではありませんか!」
ベロチュー!?
ベロチューとはなんだ!?
いや、言葉の響きからして意味は分かるが、そんなキスの仕方、俺は初めて聞いたぞ。
「それだけではありません。貴方はそのまま わたしに御奉仕しろと命じました。
キスが気に入ったから肉棒にもキスしろと!」
肉棒にキス!
なんと淫靡な響きだ。
こいつ、やるな。
しかし、
「ふん。その程度の話か。そんな下らん作り話で皆を騙せると思うのか」
「作り話ではありません!
貴方は俺がイクまでキスし続けろと言って、肉棒をおしゃぶりさせて、あまつさえ 肉棒から放出した白濁液を わたしの口の中に出し、それを飲み込めと命令しました。
あんな しょっぱくて苦い嫌な味は 忘れたくとも忘れられません。それを飲ませたのですよ!
あまつさえ わたしに、飲ませていただきありがとうございます、と言わせたではありませんか!」
なんだ その男の夢を体現したセリフは!?
「次の日は わたしの胸を玩びました!
力任せに揉みしだいて、中々の大きさだとか言って、胸で御奉仕しろと命令しました!
わたしの胸で肉棒を挟ませて、最後は わたしの胸にも顔にべったりと出して! 髪にまでかかって落とすのが大変だったのですよ!
自分の部屋に帰る時、廊下で他の人とすれ違うたびに、臭いで分かってしまうのではないかと怖かった!」
「ふん! 大人向けの小説でも呼んだのか? そんな作り話 誰が信じる!?」
しかし この女は俺の言葉を無視してそのまま続けた。
「初体験も最悪です! 部屋に呼び出して、また御奉仕しろと命令されるのかと思ったら、わたしをベッドに無理やり押し倒して、力で抵抗できない わたしの純潔を散らしたのです!
妊娠するかもしれないから、中に出すのはやめてと何度も懇願したのに、種付けプレスとか言って三度も中出ししたではありませんか!」
種付けプレス?!
なんだその卑猥な言葉は!
「それからというもの 事あるごとに部屋に呼び出して欲望の捌け口に!
経口避妊薬は欠かせませんでした!」
「よく調べてきたようだが、証拠などない。その程度の話、調べれば誰でも思いつく」
「話はこの程度では終わりません!」
まだあるのか?!
「緊縛プレイと言って、縄で わたしを縛り上げ、動けなくなった わたしを玩びました!
貴方は指で唇で舌で私に刺激を与え続け、だけど絶頂しないように わたしを焦らして焦らして、いっそイカセてくれれば楽なのにイカセてくれなくて、とうとう わたしはイカセテくださいと懇願してしまったのです!
どれほど恥ずかしかったことか!
だけど! 貴方はそれでもイカセテくれなかった! イカセテ欲しかったら肉棒をおねだりしろと! でなければこのまま続けてやると!
わたしは楽になりたくて、楽になりたくて……うっうっうっ……」
「変態向けの小説で知識を仕入れてきたのだろう!」
「これだけでは終わりませんでした!
ある日! 貴方は わたしのあそこに大人の玩具を入れて、そのまま授業を受けさせたのですよ!
授業中、スイッチをつけたり消したりを繰り返して、わたしの反応を楽しんでいた!
隣の席の人が怪訝に話しかけてきた時は シャックリだと言って誤魔化しましたが、皆にばれてしまうのではないかと どれほど怖かったか!」
その隣の席の女生徒が ガタッと音を立てて立ち上がり、
「あの時のシャックリはそうだったのですか!?」
ちょっと待て!
俺はそんなことしてないぞ!
「さらに次の日の夜の事です! わたしにお茶を三杯も飲ませた後、校舎を散歩すると言って、わたしを全裸にして首に犬の首輪をつけさせて、四つん這いにさせて連れ回しました!
お茶を飲まされたせいで おしっこがしたくなって時、嫌な予感がしました!
そうです! 貴方は わたしを裸のまま校庭に連れ出して 犬のようにおしっこをしろと命令したのですよ!
そして そのまま そこで 犬のように後ろから三発も!
人に見られていたらどうなっていたことか!」
「いいかげんにしろ! そんな作り話で皆を騙せると思っているのか! なにが人に見られたらだ! 今 おまえが大声で俺のした事を言っているではないか!」
隣にいる俺の恋人が驚愕の目を向けた。
「王子、本当にそんなことを……」
「待て! 信じるんじゃない! 全部 あいつのでたらめだ!」
「なにを言っているのですか! 今 王子は自分のしたことを認めたではありませんか!」
な、なに?
認めただと?
そんなこと一言も……あ!
今 おまえが大声で俺のした事を言っているではないか。
しまった!
これではあの女のでたらめを肯定しているようなものではないか!
「まさか王子、私にも同じ事をするつもりで……」
公爵令嬢が彼女の言葉を続けて、
「そうです! 王子は わたしにしたことを貴女にもしようとしているに違いありません!」
「違う! 俺は彼女にそんなことをするつもりなどない! いい加減にしろ! それ以上でたらめを続けるなら修道院ではなく監獄に入れてやるぞ!」
「貴方がしたことに比べればどこだってましです!
そう! 貴方は わたしの最後の純潔を奪ったのですよ!」
「さ、最後の純潔?」
全部やることはやっているはずだが……
「貴方は わたしの全てを奪ってやると言って……
……ついに お尻の穴まで!」
講堂が静寂に包まれた。
……え?
お尻の穴?
そこって そういうことできるとこなの?
「貴方は わたしに命令しました。お尻の穴が良く見えるようにお尻を突き出せと。そして浣腸をしたのです!
トイレに行かせて欲しいのに 行かせないで。漏らしてしまうかと思いました!
そして我慢の限界に来て、私は何度も懇願して、やっとトイレに行かせてくれたと思ったら、今度はトイレで私の体を縛って。
わたしが一番 恥ずかしくてみっともない姿を見てやるって。
わたしはどうかそれだけは見ないでくださいと懇願したのに、貴方はにやにや笑いながら、わたしが我慢している姿を見続けた。
そして とうとう わたしは我慢の限界を超えて出してしまった。
余りの事にお尻の穴が開きっぱなしになってしまって、貴方はそこにウォッシュレットを。
一番強くして、開きっぱなしのお尻に。
刺激が強すぎて わたしは悲鳴を上げて、何度も止めてって言ったのに、綺麗になるまで止めないと。
そして やっと止めたら、貴方はそのままお尻の穴に貴方は自分の肉棒を。
凄く苦しくて気持ち悪くて、許してって何度も言ったのに、貴方はニヤニヤ笑いながら構わずに最後まで。
そして、これでおまえは完全に俺のものだと言って、貴方はそれからというもの、いつでもどこでも、時と場所を選ばず、わたしを欲望の捌け口にし続けた。
あなたに汚されていない場所など わたしの身体には残っていない。
それなのに 貴方は わたしに飽きたからもう捨てると言うのですね!
もういいですわ! あなたのような男 わたしからお断りです!
この粗チン! フニャチン! 貧弱チンポヤロー!
うわぁあああああん!!」
公爵令嬢は泣きながら講堂を出て行った。
講堂は静寂に包まれていた。
そして全員の非難の視線が俺に集中していた。
「……ち、違う。俺は、そんなこと、していない。ぜ、全部、あいつの、でたらめで……」
俺の女が俺の前に来ると、怒りと軽蔑の眼で、
パンッ!
俺の頬を引っぱたいた。
「最っ低」
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