読み聞かせ童話「棚からぼた餅」

@SyakujiiOusin

第1話

          読み聞かせ童話「棚から牡丹餅」


                               百神井応身


 神棚の下で寝ていたら、神様にお供えしてあったぼた餅が、たまたま開けていた口の中に 入ってしまいました。

 こういうことを、略して「たなぼた」とも言いますが、思いもかけなかった幸運が、何の苦労もなく自分のところにもたらされたときに言われる言葉です。


 今と違って、昔は、ぼた餅が、とても貴重な食べ物で、 滅多に食べられませんでした。

 食べたいな、食べたいなという気持ちが強くて、牡丹餅が落ちてきたらいいな、という願いが叶ったことから出てきた言葉のようです。

 このような幸運は、簡単に起こることでしょうか?


 皆さんが童謡で歌って知っている「まちぼうけ」も、同じようなお話しです。

 ある日お百姓さんが山の畑で働いていると、山から出てきたウサギが、坂道を駈け下りるときに転んで、切り株に頭をぶっつけて気絶してしまいました。

 それを見たお百姓さんは、何の苦労もなく兎を捕まえることができたのに味をしめ、それからは、そのお百姓さんは、畑に出かけても仕事をしないで、ウサギが出てきて転ぶのを寝てまっているようになりました。

 しかし、二度とウサギを捕まえることはありませんでした。

 そのお百姓さんの家は、どんどん貧しくなっていきました。

 何の努力も、何の働きも、何の学びもしないところには、何の幸運も訪れないのです。

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