童話「太郎ちゃんのお散歩」

@SyakujiiOusin

第1話

          童話「太郎ちゃんのお散歩」


                               百神井応身


 太郎ちゃんはまだ幼稚園に上がる前です。一つ年上のお姉ちゃんマミちゃんと一緒に、お祖母ちゃんに連れられて、近所のシャクジイ公園にお散歩に出かけました。

 大きな池をぐるっと回る途中に、弁天様をおまつりしたお堂があって、その傍の東屋のベンチが、いつもの休憩所です。

 そこに着くと、黄色い小さなリュックサックを降ろして「ぼく、ジュースを飲む」とお祖母ちゃんに言いました。

 マミちゃんも小さな赤いリュックサックを肩から降ろしました。

 お祖母ちゃんはにこにこ笑いながら優しく手伝いました。

 東屋のベンチでは、太郎ちゃんのお祖母ちゃんより少し若そうなおばちゃんとおじちゃんが、先に休んでいました。

 おばあちゃんは「おじゃまします」と、先客に挨拶して、空いていたベンチに腰をおろしました。

 太郎ちゃんは、ジュースと一緒にアンパンも取り出しました。

 太郎ちゃんは、そのアンパンを小さな手で二つにちぎると、その一つを先に座っていたおばちゃんに差し出しました。

「あら、分けてくれるの。ありがとう」と言っておばちゃんは喜んで受け取ると、それをまた半分に分けておじちゃんに渡しました。

「じゃあ今度はおばちゃんからのお返しね」と言って、自分で焼いて持ってきていたシフォンケーキを3切れと、チョコレートを太郎ちゃんたちにあげました。

「ありがとう」ときちんとご挨拶して、太郎ちゃんはお祖母ちゃんに渡しました。

 良い家庭に育っていると、行いも整っています。

 五人はすっかり仲良しになりました。

「一緒に鯉にも餌を上げましょう」とおばちゃんが言って、パンクズを太郎ちゃんとマミちゃんに手渡しました。

 撒いてあげると、池にいた大きな鯉たちも大きな口をあけて、喜んでたべました。

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