第23話 満ち足りた瞬間

濡れた髪をかき上げる

女が満ち足りた瞬間だ


はにかんだ顔


一層つやっぽくなった首筋に

俺の痕跡こんせきをつけたくて

唇を強く押しあてる


彼女は戸惑いながらも

身体を俺に預ける


絶対の安心と

少しの恐怖が

入り混じった女の顔


先の確信などなにもない


ただこの瞬間が

素晴らしければ

それでいい


それだけだ

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