雪女の嘘
来冬 邦子
序章 第一発見者
残雪の彩る黒い尾根を、柴を積み上げた背負子を担いで若者が降りてきた。
振り仰げば冬麗の空は突き抜けるように青い。凍りついた沢を慎重に越すと、乾いた岩場から辺りを見渡した。いま越えてきた沢は夏場は舟が無いと渡れない。
「昔はここに渡し場があったんだよな」
七年前の秋、季節外れの猛吹雪が吹き荒れて、船頭の番屋も雪で潰れてしまった。確か
「これが渡し舟かな」
好奇心が手伝って、若者はその泥まみれの舟を力任せに裏返した。
「う、う、うわあああああああ!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます