人間の醜い心の中

桜庭みゆき

醜い人間の子

今までスルーしてきたことかもしれない。


自分は優しいとか思ってきたかもしれない。


嫌なことは言ってはいけないし、思ってもいけない。


人に嫌なことをされてもしてはならない、我慢しよう、そんな人は可哀想な人だ。


本音は言ってはいけない。本当のことは言ってはいけない。本音と建前を使い分けなくてはいけない。


どうして?


喧嘩になるから。

争いが起こるから。

人として駄目だから。


それってさあ。

やっぱりみんな心の中は醜いってことよね?


いい事だけ言いなさい。

思ってる事をそのまま言葉にしては駄目。


それってさあ。

いい事なんか少しも思ってないってことよね?


優しい気持ちもあるけれど、醜いわたしもいる。


ようやくそれを認めなきゃと思ってきた。


いいじゃん?

醜くても。


それが自分なんだから。


わたしは書くよ。


ありのままの自分の心の醜さを。


包み隠さずに書くよ。


いま書いてる作品の中で書くよ。


どんだけ自分が醜い人間なのか自分自身も知りたいから。


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