住んでる世界

勝利だギューちゃん

第1話

アイドル。

テレビの中の存在。

そう、思っていた。


しかし、最近はアイドルとファンとの距離が近くなった。

もっとも、境界線はあるだろうが、握手会やちぇきなどは、

昔では、考えられなかった。


まあ、俺はアイドルには、全く興味がない。

でも、ネット社会の昨今、嫌でも情報は入ってくる。

それに、目を通す。


「最近は、こんなこともやるんだな」

その程度の、関心しかなかった。


でも、近くでアイドルグループのイベントがあるらしい。

「冷やかしに行ってみるか」

そう思い出かけた。


なになに?CDを購入の方に、握手とちぇき?

お財布と相談してみよう。


「お財布さん、買っていいですか?」

「いいですよ」


お財布さんの、OKが出た。

買おう。


えーと、何てアイドルだ?

たくさん女の子がいるな・・・

ユニットか?


名前は、スノープリンセス?

わかないが・・・とにかく行ってみよう。


会場に行くと、すごい長蛇の列だった。

「この子たち、そんなに人気があるのか?」


周りの連中は、いかにもと格好をしている。


何度か声をかけられたが、俺はよくわからん。

なので、相槌を打つしかなかった。


入口で、数名の女の子がポケットティッシュを配っていた。

「あっ、さやちゃんだ」

「けいちゃんもいる」


いきなり大騒ぎになる。

「あの子たちも、有名なのか?最近は、こんなことまでするのか?」

俺が、年よりなのか?


で、時間が進み、俺の番が近づいてくる。

前の連中は、楽しそうにアイドルの子たちと談笑している。

握手やちぇきにも応じている。


完全に、顔見知りになってるな。


「俺にはあわんわ。握手だけして、帰ろう」


そして、俺の番が来た。

アイドルの女のたちは、笑顔で挨拶をしてくる。

「応援しています」

それだけ、俺は言った。


そして、ある女の子の前で、いきなり

「あっ、佐々木くんだ!来てくれたんだね。ありがとう」

俺は、固まった。


向こうは俺を知っている、でも俺は知らない。

誰だ?


「わからない?私よ、小学生で一緒だった、池上ゆりよ」

「池上さん?あの、メガネをかけて真面目だった?」

信じられなかった。

この子が、アイドルになるなんて・・・

世の中わからん。


「ねえ、私の事覚えてる?」

「うん、たった今、思い出しました」

「それでもいいよ。ねえ今何してるの?」

「高校生だよ、池上さんはどうしてアイドルになったの?

池上さんから、手紙を渡された。


池上さんは、目で合図した。


家に帰って手紙を見てみる。

そこには、連絡先が書いてあった。


でも、俺は放置した。


やはり、アイドルと俺とは、別世界の人。

彼女に何があったのか、そっとしておくのが吉。


ただ、今後の活躍は祈ろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

住んでる世界 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る