第40話 文化祭(その5、後夜祭後編)
そして後夜祭は続きます。
バンド演奏やヒップホップダンスで熱量の上がる会場
体育館の外も暗くなってきました。
「ふう、体育館の中あっついねぇ」
「外も暑いけど、風が気持ちよくなってきたねぇ」
「しかし友香のその札、もう超ダサ!実行委員のセンス光ってて草生える!」
「もう部長と副部長で責任取ってくれたらいいのに……(レイプ目)」
周りを見ると、暗闇に紛れて何人かの男女が……
「おう……やっぱ文化祭の後は定番なんだねぇ……」
「いわゆる『文化祭マジック』かな?」
「まあ雰囲気利用してコクるってのはわかるけどね?」
「んじゃ私も多香子に告白するかな?」
「バカなのお前⁉」
「こういうのって、今だけのノリじゃん」
「男にコクれよ!」
「いないし」
「私もだけどね!言葉に出すと虚しいなオイ!」
「んっ……」
友香が目をつぶって唇を突き出します。
「お前マジかよ⁉」
「雰囲気雰囲気、これも『文化祭マジック』だって」
「『文化祭マジック』ねぇ……はあ……」
溜息をつきながら、多香子が友香に近づいていきます。
「流されやすいなぁ……私って……」
ちゅっ……
「いえ~い♡」
「いえ~い♡」
「暑苦しいので離れて下さい!」
「体育館暑苦しいから出てきたんじゃん」
「そうそう、愛しの小雪先輩もゲットしてきたから文句ゆーなよスズっち」
ぼんっ!
私の隣で、可愛いコスプレを強要された魔法使いが真っ赤になってます。
「んじゃ私達は行きますね?」
私と美鈴ちゃんを無理矢理体育館の外に出した犯人たちは、無責任に帰っていくみたいです
「へ?美香子ちゃんも亜弥ちゃんも戻るの?」
「今からラップバトル大会あるみたいなんですよ」
「2人で墓石に刻まれるライムくれてやるze!」
「選択肢は無いぜ!殺るかもしくは殺られるかだ!Hooo!」
2人はボイパ対決しながら帰っていきました……
この子達何がしたかったの?
残された私と美鈴ちゃん
赤いミニワンピースに短いマント
ニーソックスにショートブーツ
隣にいるのは、可愛い魔法使い
「似合ってるね美鈴ちゃん、大人気だったみたいだし」
「ありがとうございます……」
「すっごく可愛いし」
「ありがとうございます……」
「小雪先輩……」
「ん?」
「私……クラスのために……ちょっとだけ……頑張りました」
「ううん、ちょっとじゃないよ、たくさん頑張ってたよ?」
「恥ずかしいけど……頑張りました」
「うん、美鈴ちゃん頑張ってたね」
「だから……」
「ん?」
「その……だから……」
んー、そういうことなのかな?
まあ頑張ったし、『文化祭マジック』の雰囲気って事で今日はいいかな?
「大変よくできました」
ちゅっ……
「ふぅ……やっとバキバキヘアーから脱出できた……」
いつものポニテに戻ったお姉ちゃん
体育部のシャワー借りて、ヘアスプレーでガッチガチに固められた髪を洗ってやっとすっきりしたみたいです。
「さ、この服も脱ごうっと」
まだ片付けの終わってない教室に戻ります。
誰もいないない教室、電気をつけると……
「あれ?淳子何してるの?」
「あ、小春ちゃん。クラス委員長がこれ教室に持って行って欲しいって」
「はー……淳子は相変わらず優しいっていうか人がいいっていうか……」
「小春ちゃんは?」
「制服着替えに来た……って、ケーキあまってるし?」
「食べちゃうの?」
「今日のクラスへの貢献度考えたらこのケーキは私の物って主張しても文句あるやついないだろ!」
「あはは……そうだね……」
「一緒に食べようよ、淳子適当に座ってなよ」
「え?私もいいの?」
紅茶とケーキを2つずつ持ってきて……
「お待たせしました、お嬢様」
淳子ちゃんはポーっと見てます。
「ん?どしたし?」
「あ……小春ちゃん……かっこいいな……って」
「そりゃこの執事服で売り上げ爆上げだったし」
「そうじゃなくて……その……」
「まっ、とにかく食べようよ」
ケーキを食べ終わって……
「あの……小春ちゃん」
「ん?どしたし?」
「私達……キスした……事……あるよね?」
横を向いて盛大に紅茶吹くワタクシ
「忘れて!」
「無理だよ……」
「ですよねー」
「あ、あのね……『文化祭マジック』じゃないけど……」
「ん?」
「好きだよ……小春ちゃん……」
「いや、知ってるし……」
「うん……再確認したかったんだ……友達として……」
「はぁ……『文化祭マジック』ねぇ……」
淳子の隣に行き……
「ま、そういうのが1年に1回くらいあってもOKかな?」
「小春……ちゃん?」
「眼鏡取った方がいい?」
淳子が首を横に振る。
「このまま小春ちゃんの顔見たい……眼鏡邪魔かな?」
「いんや」
ちゅっ……
体育館でのラップバトル
「愛しているぜヘイハニー!」
「それなら払えよペイマネー!」
「金じゃねーだろテメエに喝!」
「必ず最後に愛は勝つ!」
美香子ちゃんと亜弥ちゃん、マイク床に叩きつけて……
抱き合って濃密にぶっちゅー!
「「「うおおおおおおおおおっ!」」」
体育館大騒ぎ!
『文化祭マジック』
とっても便利な言い訳
とっても便利な免罪符
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