家に帰ると、マンションの形が歪んでた。
緋色 刹那
家に帰ると、マンションの形が歪んでた。
家に帰ると、マンションの形が歪んでた。各階の位置がバラバラにズレ、前衛的な建物と化している。
「抜くのに失敗したジェンガかよ」
『立入禁止』と書かれた黄色い規制線の外から自宅を見上げていた私は、思わず呟いた。
「今日は琴美の部屋に泊めてもらおう」
近所に住む友人に連絡を取ると、既にこちらの事情を知っていたそうで、あっさり承諾された。
「おじゃましまーす」
友人の家のリビングは子供のオモチャで散らかり、2人の幼児が追いかけっこしていた。
「ごめんね、散らかってて。今日、お姉ちゃんとこの子達預かってたの」
ふと、床に置かれたジェンガが目にとまった。この形、最近見たような……。
「キャハハ!」
「あっ」
その時、走っていた子供の足がジェンガに当たった。ジェンガは崩れ、床に散らばる。
直後、私が住んでいるマンションの方から轟音が聞こえた。
「……え?」
その夜のニュースで、うちのマンションが崩壊したと報じられた。
家に帰ると、マンションの形が歪んでた。 緋色 刹那 @kodiacbear
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