第8話 黒き魂
拡散していた黒い靄はやがて一箇所に収束し始めた。
それを見ていたレイヴとアーニャは最初何が起きているのか理解出来ないでいた。
しかし視界が晴れ、収束の中心にいるのがルインであると理解した時、二人はルインのもとへと駆け出していた。
倒れゆくルインの体を受け止めたレイヴは未だ何の反応も示さないルインの体を必死に揺すった。
「ルイン! ルインしっかりしろ!」
やがてルインはゆっくりと目を開けた。
その刹那ルインの肉体からどす黒い炎のようなオーラが立ち上り、澄んだ青い瞳は真っ赤なルビーのような色へと変貌した。
「なっ!?」
突然のことに驚いたレイヴは思わず叫び声を上げそうになるも、その声はルインの手によって掻き消された。
「騒々しい。少し黙っておれ」
「レイヴを離しなさい!」
「ほう。小娘、少しは魔法が使えるようじゃな」
アーニャは杖をルインへと向けたが動揺しているのか手の震えを隠せずにいた。
「怯えるなすぐ殺してっ……! ちっ……ルイン、お主まだ抗うか!」
突如ルインが苦しみだしたことでその手から開放されたレイヴをアーニャは素早く抱きとめた。
「しっかりしてレイヴ!」
「お、俺は大丈夫だ。あいつはどうなったんだ……」
「分からないわ。急に苦しみだして」
「あれは、ルインじゃない。誰かがルインの体を乗っ取っている……」
「そんな……」
ただただ見守ることしか出来ない二人の眼の前でルインは苦しみながらのたうち回っていた。
それはまるで自分の中の何かと戦っているかのように見えた。
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