第3話 和食屋

うなぎ屋の角で小川から離れて住宅街に入る。和食屋が見えてくるのもそう遠くないだろう。蕎麦はない。蕎麦じゃなくておかずを食べるのだ。あそこの昼は、定食、上定食、蕎麦定食がたいていメニューに並んでいて、歩きながらまず蕎麦を落とした。エンジン音に車を警戒する。店が見えた。右の小路から自転車。ギアの油が切れていそう。おかしい。


おかしい。店が見えない。見えるのだけれども白い覆いがかかっている。これまでかけたコストはいかに回収すべきか。そもそも何故自転車を置いてきたのか。責任者は誰か。せめて負けた理由が知りたい。我々は店頭にあるはずの貼り紙を読むことにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る