第16話 文章の参考になる本

「文章の参考になる本」

「おう」

「抜粋でいいならたくさんあるけど、著作権が難しくて。引用するだけなら著作権は気にしないでいいらしいんだけど、もめごとになると困る」

「難しいな」

「だから、無難なところを紹介するつもり」

「おう。日本一文章がうまいのは誰なんだ」

「ない」

「なんだって?」

「日本一文章がうまい小説は存在しない」

「ないのか」

「ないです」

「なんかあるだろ。どうでもいい小説でも、文章が無駄にうまいとかあるだろ」

「ない」

「それならしかたないわ」

「強いていうなら、日本一文章がうまい小説は、笙野頼子『ウラミズモ奴隷選挙』」

「あるじゃん」

「まだ発売されたばっかりのやつ」

「知らん」

「うん。たぶん、忘れ去られる」

「売れるといいな」

「発売後一か月立つけど、ぜんぜん売れてる感じがしない」

「そうか」

「ちなみに、英語なら、エリスンの短編集「死の鳥」。アンダーグラウンドクラシック。デッドバードストーリー」

「外国語もやるのか。きみ、訳書しか読まないじゃん」

「英語なら、あるいは、ブラッドベリの短編集「十月はたそがれの国」」

「ドイツ語は?」

「ドイツ語なら、ニーチェ「道徳の系譜」」

「フランス語は?」

「フランス語なら、サン=テグジュペリ「星の王子さま」」

「ロシア語は?」

「ない」

「スペイン語は?」

「ない」」

「ポルトガル語は?」

「ない」

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