理由なんてない

理由なんてない。

光が、庭先を刺して、小さく虫を殺す。

理由なんてない。

うさぎが欠けて、わたしが飛んで、月が落ちて、

そうしてすべてが循環していく。


私の身体も、いつか君が喰べて、

血になって、花になって、宇宙に溶け出していく。


そうやって、わたし達はいつか、地球を飛び出すの。


彗星が太陽にぶつかる頃には、

あの日のうさぎも飛び出していくから、

理由なんてない。


理由なんてない。


君が好きだというあの花に、

理由なんてない。


それでも、いつでも、ここにいる。

実を結ばず、花も付けず、根も張らず。

ただ消えていくだけ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る