燃える

燃える。

なにもかもが燃えていく。

感情が、価値が、城が、社会が、人間が、

花畑が、家が、庭が。

僕が、君が、

残さずすべて、燃えていく。


すべてを燃やして太陽になりたいと、神様が願ったけれど、

マントルが噴出して、海が沸騰して、

君と、君が流した涙が蒸発して、

そして何もなくなった。


僕は、砂漠に立っていて、

いつか飲んだコーヒーの味を思い出していて、

街が消えたからやっと、

僕はコーヒーの味がわかるような気がした。


僕よりも上手く生きている人が、

僕より早く生まれた人が、

僕より不幸に生きている人が、

僕より遅く生まれた人が、

みんないなくなって、

この世界には僕、それだけしかなくなってしまう。


夕焼け空。

真っ暗闇に飛び込むことが決まった狭間。

君と居た痛みが、愛であれば良いと願った、

あのせつなさえ、過ぎ去っていく。

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