桜が舞う

遠くの家で犬が吠えると、北の国では雪が降る。

そんな事、ちょっとも気にせず、春はここに居る。


春になったら、すべてが新しくなるのだと、信じていました。

すべてが死に、生まれ変わり、そうしてまた生を紡ぐのだと、信じていた。

だけど似たような事を、きっと年末にも言っていて、

冬はみんなが死ぬ季節だった。


春を授かる罪悪感を、恋と喩えた時、

君は庭先でワルツを踊っていました。

桜の花弁が、踊るように宙を舞って、

だけどゆっくり、地面に落ちていく。


へばりつく。


桜が舞うのは永遠なのに、

時間を引き延ばしただけの永遠は、案外すぐに終わってしまうのだと、

わたしは、永遠の記号を見たときに気がつきました。


永遠の記号は、すべてが丸まっていて、循環していて、終わりがない。

そういうものしか永遠になれないから、

今日もわたしは、永遠を舞う桜を見ながら、

君を想います。

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