ぱしゃり

ぱしゃり

きみが切り取った景色に、

映るぼくのことを、忘れないでいてほしい。

ぼくの方からは、きみが縁取られているように見えるから。


真っ青な空も、星降る夜もなかったけれど、

ぼくたちの関係は曇り。

それでも良いと思えたんだ。


電車の最終時刻も、日が昇る時間も、

なにも気にせず横になろう。


きみと二人、時間にも置いてけぼりをくらって、

降ってくる星の光すら届かない花園、

むせ返るような花の香りに閉じ込められたモラトリアムを、

ぼくたちの熱で、すべて燃やしてしまおう。


孤独を知る時、ぼくたちは愛をもつから。

ほら、もう、こんなにもあたたかい。

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