冬の去就
サクサクと溶けていく雪が、
桜の様相を匂わせる、去就。
迷った君の足踏みで、
揺れる恋心が、
僕たちを閉じ込めていた寒気を、
ひとつ残らず解かしはじめて、
起き出した君は、
キスも残さず、一人で歩いていく。
寒さを言い訳にして。
雪がはじけとぶ痛みを、
愛おしいと思った頃には、もう遅かった。
君と合わせた手のぬくもりを、
追いかけてしまう心を、
僕は隠すことができないから。
春がもうそこまで来ている。
雪虫を鼻頭に乗せて、
寒さを言い訳にした密会を、
花畑へと連れ出していく。
咲き始める花の甘みが、
かじかんだ心さえ、
愛撫してくれることを望んで、
雪の下に埋もれたい、
陽の光が降り注ぐまで。
サイダーが弾ける。
君は熱を発する。
どうしようもない冬の去就を抜け出したなら、
もう、桜が吹雪いている。
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