しゃぼん玉、飛んだ

人生に邪魔なものが増えて、隣のブロック塀が低くなった頃、

必死に隠していたものまでも、目の前に差し出されて、

私は手を合わせて、いただきますをしている。


知らないふりを綴る私たちは、ゆっくりと息を吸い、

コンクリートの道を歩いていく。

夜。

ネオンが消えていく街並みを、諦めて立ち尽くす私が、

その実どこへいくかなんて、誰も知らないのに、

生きている私は、いつもどこかへ向かっているような、

そんな捉え方を、世界がしている。


不思議だね。

シャボン玉が空に昇っていくだなんて。

パチリと音を立てて、消えてしまうなんて。


不思議だね。

追いかけっこをしていたあの日の私は、

今、誰にも追いつけずに、走り続けています。

カレンダーが捲れた先に、正解があるような気がしてしまう。


不思議だね。

四種類しかないトランプカードで世界を捉えようなんて、

難しい物理式は、無限にある数字では書き記せなくて、

どんどん文字を増やしているというのに。


不思議だね、死んでしまいたいくらい。

パチリと音を立てて、消えてしまった先に、

幸せがあるような、気が、している。

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