桜の花びらが散る前に

ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ

プロローグ

 俺には大切な人がいた————


 いつも笑っていてそして、この世でその人を傷つけてきた。いつも近くにいるのにその優しさに気づかずに、でも、俺はそれでも最後の最後までその優しさが何なのか分からずにいた大馬鹿者だ。


 俺はそれを知ってしまった時、それを後悔した。


 幸せだったはずなのになぜ、後悔したのかそれはまだ言えない。


 だけど、それがあったからこそ俺は前へ進めたのだ。


 もし、いつもいた人が記憶を無くしたらどう思うか。


 その人が自分のことまで覚えていないとしたらどうなるのか。


 思い出を無くした人間はどうなるのか。


 周りはどう思ってしまうのか。


 それは嘘か真か。記憶が回復すると願い続けるのか。


 本当に神様というのは存在するのか。するのなら彼女を守って欲しい。


 俺はそんな彼女が今のままでいいのか、昔に戻って欲しいのかその時はすごく迷った。


 だって、人はその時の流れに流されてしまう生き物なのだから……。


 これは記憶を無くした少女と俺、菅谷翔すがやかけるの物語である————


 時は……そう、高校一年生の冬の一月の終わり頃から始まる————

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