初恋は運命に紡がれ二人で編んで最愛に

彼岸花

第零話 夢人


 朝陽______



 ねぇ、朝陽_____



 誰かに名前を呼ばれている。

 とても懐かしい、心が安らぐ声。

 返事をしたいが、声が出ない。



 私ね、朝陽ことが大好き_____



 朝陽が大人になったらね、私のことをお嫁さんにして欲しいの_____



 この言葉は……



 私には朝陽しか居ないから_____


 私の全てを受け入れてくれるのは朝陽だけだから_____


 声の主人が目の前に現れた。

 その綺麗な顔は悲しみで塗り潰され、大粒の涙が零れ落ちている。



 やっぱり、君だったのか……

 そうだね……

 俺も君しか居ないよ……

 俺を受け入れてくれるのは君だけ……



 そうだよ_____



 ずっとずっと_____



 一生一緒に居られるよ_____



 だからね、私のこと絶対に忘れちゃ駄目だからね_____



 俺が君の事を忘れるなんて有り得ないよ……



 大人になったら、絶対に私を迎えに来てね_____



 朝陽、大好きだよ_____



 俺も君が大好きだよ……

 ずっとずっと……

 君と離れ離れになってからもずっと……



 ずっと待ってるから_____



 朝陽が迎えに来るのを、ずっとずっとこの場所で待ってるから_____



 もうすぐ迎えに行くよ……

 約束通り、あの場所に……



 寂しいけど、朝陽が大人になるまで少しの間お別れだね_____



 さよなら_____



 私の__________



 声の主人は頬を赤く染めてはにかんだ。

 そして、俺に背を向けて去ってゆく。



 待って……

 もう少しだけ君の声が聞きたい……



 去って行くその背を追いかけ様としたが、身体が動かなかった。



 待って、待ってよ……

 ちよちゃん……!



 声を振り絞って彼女の名を叫んだ瞬間、彼女の姿は搔き消え、俺の視界は暗転した。

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