第11話 夢

 私は幸せだった。自分の趣くがままに舞台で歌い、踊る…


そして感じる少しのプレッシャー…


これこそが私の望んでいた事だった。

しかし、この夢が叶えられてしまったとしたら、次はどうしたらいいのだろう?


複雑な気持ちだった。


そしてなによりも気掛かりなのは、私は詐欺師に助けられているという事実だった。疑っていたはずなのに、今では全て信じられる気がした。


気がつくと、周りから拍手が聞こえた。審査員も、フィリップも。フィリップは微笑んでいた。


私は精一杯、微笑み返した。




「輝いている…未来、照らす光…」

そんな歌が昔あった。フィリップはそれを思い出していた。彼にとって咲はこの歌のように未来を照らす光のような存在だった。


今の彼女は光の如く輝いていた。彼女が女優という職業を目指すとしたら反対する理由なんて何処にあるのだろう?彼女の夢を助けてやりたい。…そんな風に思うようになっていた。


_これは、恋心だろうか?二人にはそれがわからなかった。

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