第10話 希望の中で
3人は遊園地を抜け出して、逃げた末、近くにあったとある施設へと着いた。
驚いたことに、中には殆ど警備員がいない。
「貴方の本名は『野々村 大介』っていうのね?」
私は改めて確認した。警官の問いかけでわかったのだ。
「ああ…そうだよ。でも、孤独だった頃の身の上話は省略するよ。君だって聞きたくないだろう?」
私は黙って頷いた。彼の過去を詮索する気は全くもって無かったが、彼の事は少し気になり始めていた。
それよりもここは-
私はここを何処かでみたような気がしていた。
そう、ここは私が望んでいた専門学校の校舎だったのだ。
一方、彼は、少しビクビクしていた。当たり前だ。なにせ詐欺師なのだから。
その時、受付らしい男性が私にオーディション用紙を一枚渡した。
不意に、私は不思議な気持ちに駆られた。何故か、何処かに懐かしさを感じたのだ。
やがて、オーディションの時間が迫ってきた。やはり、少し緊張していた。これで私の望みは叶えられたのかもしれない。だが、その結果を考えると…
どうやらそれが伝わったらしく、フィリップが言った。
「もしそうなったとしても、またやり直せばいいさ。まずは自分を信じろ。」
順番が呼ばれた。心の中はこれからの希望でいっぱいだった。
さあ、これからが私のステージだ…
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