第129話【有り触れる】


【有り触れる】


溶けかけた氷に甘くない飴玉を

お口に放り込んで歩道橋をふわり

ゆっくりと腰を落とす

忘れもの羽根 届けとばかりに

宙に放ってとんだ 

手を振ってバイバイ

渋滞している車の波を

黒猫が何食わぬ顔で横断していった

お腹は当り前に命を欲するけど

けたたましいはずの日常が

変化する風が吹いて やっぱり

足はぶらぶら スカートはひらり

腕を取りましょう、ふたりで。

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