第103話 かけら

【さんがのかけら】


うみにゆく、

手を繋いで何処迄も果てまでも

天を奔った白紙には綴じられる世が確かに在りました。

何処が違えたのか、

とん、と

判らないのでしょうが。

気付けばミクロの来世に 白骨が鎮座していてさァ

紅い朱い布帛は靡いて間引いて

彼ノ秘との流転の髪も そのように蔓延りまして ね

埋められて  あゝ 生まれなかったモノが仰山。

五臓六腑から わらわらと 惹掻き切られ 終に憂う

山並は時の形相で ミイミイと鄙びて鳴く蝉に ついつい

障りのていで エエ加減に 茹だって ネエ。その間々

すとンッ 墜っこちたらしいって ほら 「患者さんがね

んですって。」

何処まで行ったんだろうねえ? 黄身のむぎわらぼうしは、屹度

陽に好かれて、已んだ風に奪われて 

「夕立の小径」 転がってゐた泥まみれも。

笑顔でゐ抱いたのは やはり塗れた アタマ だけだったの、

いい人に貰われれば善カッタノニ 御代りになりません。と


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