第97話【しるし】

揺り籠の舟を漕ぐ

寐彩に揺られた君


さえずりの世界では

なんてこともない日常を


繰り返すしあわせを


えがおや

かなしみを

張り付いたなみだは


今 閉じられた日記


時に逆らえず括られるとき

読んでくれたのだろう


思い出は時の栞

走馬燈はおつかれさまと滲み

風に捲られた紙上は

白く霞んで    

       

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