キセキ



シンの扉の深淵 

中にはぽつんと置かれる 一糸乱れず仕舞われた絶景がある


雑多な紅葉は 触り悪い模造紙に吐露した 騙し絵の贋作

カあキゐロの懲房は 惚れ彫れとすると酔い惑う

 

子狐猫ちゃんは一声 漏らし噎び啼き咲いた 

澱んだ微笑に転がされる

墨色の箪笥にびっしりと這いを詰めた 乞うさまは終いを忘れ

今も指向 ケタケタと蠢いている


新物の硬筆は癖だけを明記とする 美しく醜く 儚い世界


いずれは全て絶える 

良しとする許しを得た時 地に墜ち 肥しになるのだろう


ぴんからきりり 爪弾かれた 振るい盛んな夢の残滓

生々流転 大まかに歴史となる


想い泡沫が沢山に詰まった 至極の宝匣


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