第6話宮崎

夏、日菜子と輝幸は宮崎へ行った。カーフェリーで行った。瀬戸内海を西へ進んだ。家島群島で日が暮れた。特別室を借りていた。眼下に海が広がっていた。

「てるくん海が青く光っているよ」

「ひなちゃん夜光虫だよ」

 日菜子は青く光る夜光虫に見とれた。夜光虫は船が波を切った水しぶきのところで、特に青く光った。

「てるくん見て、あれ、海の底から青い光を照らしているみたい」

「すごいね」

輝幸「そろそろ寝ようか」

「まるで私達新婚旅行のようね」

「そうだね、実質の新婚旅行かもしれないね」

 翌朝、快晴の宮崎県日向市の日向港に着いた。

 まず、宮崎市に行って青島に向かった。青島の周りは鬼の洗濯板と呼ばれる平らなギザギザの岩が、500メートル四方に広がっており、その真ん中に青島があった。青島に渡ると亜熱帯の木々が生えていて、その奥に青島神社が有った。

日菜子「私たちが無事結婚できますように」

輝幸「たくさんの女性とうまく付き合えますように」

 それぞれが神に祈った。

 青島を出て、日菜子の実家の在る椎葉村に向かった。

 朝9時に日向港に着いて、青島に1時に行って遊んで、椎葉村に5時に着いた。父の靖夫、母の加代子、弟の雅彦が待っていてくれた。

日菜子「ただ今」

一同「お帰り」

日菜子「紹介するわね、こちらが、今お付き合いしている浅見輝幸さん」

輝幸「浅見輝幸です、よろしくお願いします」

靖夫「何も無いけどゆっくりしていってください」

輝夫「お世話になります」

靖夫「固い話はそれくらいにして、晩飯にしようや、母さん」

加代子「はい、はい今日はすき焼きにしました」

靖夫「浅見さんビールがいいか、焼酎がいいか」

輝幸「ビールをもらいます」

日菜子「私もビールをもらうわ」

靖夫「浅見さん宮崎は初めてですか」

「初めてです、いいところですね」

「宮崎にもいいところがいっぱい有りますよ、これからご案内しますよ」

輝幸「またこれから行きたいですね」

靖夫「日菜子とはどこで知り合われたんですか」

「私の勤めてる会社に、日菜子さんが月に1回くらい訪ねて来られて、私がかわいいなあと思って、声を掛けたんです」

「ああ、そうですか」

輝幸「こんな場ですが、ここで改めてお父さんにお願いがあるんですが」

「何でしょう」

「お嬢様を私にください」

「それは、びっくりしました。びっくりしたけど、ふつつかな娘ですけど、こんなので良かったら、もらってください」

「ありがとうございます、すばらしいお嬢様です」

 座は急になごんだ。靖夫がにこやかになった。

加代子「よろしくお願いします」

輝幸「はい、まかせてください」

日菜子「嬉しいわ」

輝幸「僕も嬉しいよ」

 みんなが笑顔になった。

靖夫「結婚式はいつがいいかな」

加代子「お父さん、そんなことは二人にまかせておけばいいのよ」

輝幸「ちょくちょくご連絡します」

 その場はお開きになった。日菜子の寝室で。

「てるくんありがとう」

「いいえ、こちらこそ」

「嬉しいわ」

「俺も嬉しいよ」

 翌朝

輝幸「おはようございます」

靖夫「おはよう、眠れたかな」

「良く眠れました」

「いつ帰るのですか」

「5時の飛行機で帰ります」

「それでは12時には出ないといけないな」

 二人は早めの昼食を食べて帰った。

靖夫「それじゃあまた来なさい」

加代子「いつでもいらっしゃいな」

輝幸「また来ます」

日菜子「お父さんお母さんさよなら」

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