第19話愛の行為

 自宅に入るなり、くちびるを塞がれた。

 いきなりのことに優は上手く呼吸が出来ず、ランスの胸を軽く押した。


「っ……は」

「ごめん、ユウ。がっつきすぎだね」


 苦笑しながらも、ランスは優の首筋にくちびるを寄せる。ちゅ、と音を立てて吸われると、優の身体に痺れが走った。


「ランスさん、ベッド、行きたいです……」

「……そうだね」


 手を引かれて、ランスの部屋まで導かれた。ドアを閉める間もなく、優しくベッドに押し倒される。スーツがシワになる……と、優は頭の片隅で思った。


「ユウとは……結婚前にこういうこと、したくなかったんだ」


 ランスが優の手の甲にくちづけながら言った。大事にしたい、と何度も言われたことを優は思い出す。その言葉は素直に嬉しかった。


「大事にしてくれて、ありがとうございます」

「こういうのは、順番を守った方が良いからね」

「じゃあ、ランスさんも初めてなんですか?」

「……それは、違うんだけど……ごめんね」


 苦笑しながらランスは答えた。そっか、違うんだ……と優は少し残念に思ったが、お互いが初めて同士よりどちらかが慣れている方が良いよね、と思い直す。その方が……何となくだけれど安心だ。そう考えることにして、ランスの首に腕を回した。


「ランスさん、愛して下さい。俺の初めてになって下さい……」

「ユウ……。僕を誘惑して、いけない子だね」


 荒々しくキスされた。

 身体に力が入ってしまい、どうも上手く息継ぎが出来ない。優は声を漏らしながら与えられる衝撃を飲み込んだ。ランスの舌が優の舌を器用に絡め取る。さらに歯茎をなぞられ、上顎を舐められ、もうわけが分からない。


「ん……あん……」

「ユウ、可愛い、僕のユウ……」


 キスの嵐がおさまると、次はスーツに手を掛けられた。優の心臓が跳ねる。ランスは優のネクタイを器用に外した。するり、と首元から抜けるそれを、優はどきどきしながら眺める。


「……シワになってる」

「そうだね。スーツもクリーニングに出そう。ユウ、背中上げて?」


 言われた通りに背中を持ち上げると、上着が取り払われた。ランスはそれを床に適当に放る。余裕が無いような仕草を見て、優は嬉しくて笑った。そんな優を見て、ランスは口角を上げる。


「ユウ、余裕あるね?」

「違います……何だか、緊張と嬉しさとが混じっちゃって」

「そっか。そうだね。ユウは初めてだから優しくしないとね……でもごめん。僕、余裕が無いみたいだ……大人げないね。子供みたいだ」

「良いです。大人でも子供でも、ランスさんなら……」


 言葉の代わりにランスは優にくちづけた。軽いキス。だんだん、優の頭がぼんやりとしてきた。アルコールに酔っているみたいに。酒を呑んだことなど、一度もないのだが。

 ランスは優のシャツのボタンをひとつずつ外していく。そうして露わになった肌に、直接触れた。


「あ……」

「くすぐったい?」

「少し……」

「ふふ」


 ランスも上着を脱いで、優の上着の傍に放った。そして自分のネクタイを外す。その姿がとても色っぽくて、優は思わず見惚れてしまった。


「ユウ、ここ好きだったよね」

「あ……」


 胸の突起を指でこねられる。甘い刺激に優は我慢できずに声を漏らした。


「あっ……それ、好き、です」

「指でされるのと、口でされるのどっちが良い?」

「ん……両方、好きです……」

「欲張りさんだね、ユウは……」


 ぺろり、と右側をランスは舐めた、甘噛みしてそこを吸うと、優の口から高い声が出る。


「っあ! 気持ちい……」

「敏感だね。ユウ」


 身体が熱い。

 普通じゃない熱に、優は身じろいだ。乳首だけでこうなってしまうなんて、自分の身体はどうなっているんだろう……。ああ、熱い……。

 その時、ランスが動きを止めた。優はランスを見る。


「……どうしたんですか?」

「いや……ユウから凄くいいにおいがするから……」

「……っ!」


 ヒートだ。

 しまった、と優は思った。そろそろ来てもおかしくないそれのことを、すっかり忘れていた。


「あ……俺……」

「落ち付いて。お薬はある?」

「スーツ! スーツのポケットに」

「待って」


 ランスは床の上の優の上着のポケットを探った。そして、黄色いピルケースを取り出す。薬を持ち歩く習慣があって助かった、と優は思った。


「水無しで飲めるのかな?」

「はい……一錠下さい」

「はい、あーん」

「あー……」


 舌の上に薬が置かれた。

 優は口の中で溶かして、唾液と共にそれを飲みこんだ。ランスが新しく買ってくれた薬は一錠ですぐに効くと説明書に書いてあったものだ。初めて飲むので、今はその言葉を信じるしかない。


「……っ、あ……」

「平気? 今日は……止めようか?」

「いえ……むしろ、したいって言うか……」


 とんでもないことを発言してしまった。けれど、もう遅い。ランスは気遣わしげに優の頭を撫でた。


「無理は良くないよ?」

「平気です……ランスさんは、大丈夫ですか? 今は、フェロモンのお薬飲んでないですよね?」

「飲んでないから……正直、くらくらしてるよ」


 ランスは困ったように笑った。

 ――欲しい。ランスさんが、欲しい。

 そんな思考が、優を支配していく。

 優は起き上がり、ランスの胸に飛び込んだ。


「抱いて、下さい」

「ユウ、」

「お願いします。止めないで、愛して下さい……」

「……分かったから、まず、服を脱ごう。その……僕、本当に余裕無いから」

「じゃあ……脱がし合いっこしましょう」


 優はランスのシャツのボタンに手を掛けた。おぼつかない手つきでそれをひとつずつ外していく。荒い息を漏らす優の背中を、ランスは優しく撫でた。


「ゆっくりで良いよ……そう、上手」

「ズボンも……」

「先にユウのを脱がせてあげる」


 ズボンと下着、さらに羽織っていたシャツを奪われた優は、生まれたままの姿でベッドに横たわった。中心はすでに反応していて、先端から蜜が零れ落ちている。ランスはそこを大きな手のひらで包み込んだ。


「あっ……」

「一度、出そう」

「やあ……ん……ランスさんと、一緒が良い……」

「それは後から、ね」


 ぐちゃぐちゃ、と優の性器から濡れた音が響く。優は声を我慢することを忘れて、快楽のまま嬌声を上げ続けた。


「ああん! ランスさん……ランスさん……」

「気持ち良いね、ユウ」

「もっと、もっと擦って下さい……」

「こう?」


 ぎゅ、と握られてさらに刺激が強くなる。優は目の前がちかちかしてきて、首を大きくのけ反らせた。


「ああっ! いく! 出ちゃう……!」

「可愛いね、ユウ。出そうね」


 ランスの手の中で射精した。

 優ははあはあ、と荒い息を繰り返しながらベッドに沈んだ。気持ちが良い、けれど、まだ足りない。更なる大きな刺激を求めて、後ろがひくひくと疼いて仕方が無かった。


「ランスさん、来て下さい……」

「まずは、慣らそうね」


 ランスの指が、後ろに触れた。後孔の周りを何度も撫でられ、優はそのじれったさに耐える。


「ランスさん、もう、いれて下さい……」

「でも、たくさん濡らさないと」

「そんなに濡れてますか……?」

「うん。いっぱい濡れてる」


 恥ずかしさに頬を赤らめる。空いている手で優の髪を撫でたランスは、ゆっくりと口を開いた。


「まずは、一本ね」

「あ……ああっ!」


 ぐち、と丁寧な動作で指が入って来た。痛みは、無い。それどころか、ランスの一部が中にあるという事実に、酷く興奮した。


「あ……ランスさん、もっと、動かして下さい……」

「そうだね。ユウの良い場所、触ってあげる」


 指が曲げられ、中を探られる。ぐちゃぐちゃと濡れた音と優の息遣いが室内を支配する。

 ランスが一点を見つけると、優は腰を浮かせて声を上げた。


「ああっ! そこ……良いっ!」

「好きだったよね、ここ……」

「あ、あ、ん……! ランスさん、もっと欲しい……」

「大丈夫? 刺激、強すぎない?」

「平気、です……びりびりして、気持ち良い……」


 ランスは指の動きを速めた。優の後ろからは絶え間なく蜜が零れ落ちている。ランスの指が滑って、奥に当たってしまった。


「っ……! ああん!」

「ああ、ユウ、ごめんね? 大丈夫?」

「う、ん……奥、変な感じがして気持ち良いです……」

「……指、増やすね」


 指が増えたことによって、後ろが広がる。

 優は手の甲を噛んで、圧迫感に耐えた。


「苦しい?」

「いえ……大丈夫です……」

「広げるよ?」

「あ……あ……」

「柔らかいね。ヒートだからかな?」

「っん……分かんないです……」


 良い場所を探るのではなく、今度はランスを受け入れる準備の為に指が動く。

 二本の指は奥の方を突いたり、中でばらばらに動いたり、開いて閉じたり……翻弄されて、優は切ない声を出す。


「中……変になるっ……」

「ちょっと我慢してね……あともう一本、増やすから」

「あ……!」


 ぐぷり、と指が増やされた。

 三本の指は出たり入ったりを繰り返す。気付かない間に、優の額は汗で濡れていた。ランスは、そこに優しくくちづけた。


「ランスさん、まだ……?」

「うーん……滑りも良いし、もう良いかな……」

「いれて、いれて下さい……ひとつに、なりたい……」

「っ……あんまり煽らないで?」


 ランスは指を引き抜くと、自分のズボンに手を掛けた。


「あ……俺が脱がす……」

「それはまた、別の機会に、ね?」


 ランスは自ら裸になった。ランスの中心もしっかりと反応している。優は嬉しくなって、手を伸ばしてそこに触れた。


「……っ、ユウ」

「前みたいに、口で……」

「それも、また今度で。今は……ユウの中に入りたいな」

「……分かりました」

 優は手を離して、またベッドに寝転がった。仰向けになって、膝を立てる。


「ユウ、足、開いて?」

「……はい」


 ゆっくりと足を開くと、ランスが隙間に割って入って来た。

 ――ああ、ランスさんと繋がるんだ……。

 そんな期待が優の心をいっぱいにする。


「あ、スキンをしないと……」

「要らないです……そのままで……」

「駄目。こういうことはちゃんとしないと、ね?」


 ランスは手を伸ばし、ベッドサイドに置かれた箱を探った。中から四角い包みを取り出すと、慎重にそれを破って中身を出した。


「付けるから、待っていてね」


 言いながら、ランスは避妊具を自分のそれに付けた。優はその様子を、興味深く眺めていた。

 ――やっぱり、大きいな……。

 自分のそれと色も形も違う。それがこれから自分の中に入ってくるのだと思うと、歓喜で身体が震えた。


「お待たせ。ユウ、避妊薬も飲もうね。あーんして」

「あー……」


 舌の上に薬が置かれる。じわりと溶けだしたそれは、とても苦かった。


「ランスさん、こういうの、いつ、用意したんですか……?」

「一週間前」

「その時から、俺のこと、抱いてくれるつもりだったんですか?」

「そうだよ……大人げないね」

「いえ……嬉しいです」


 見つめ合ってキスをした。ゆったりと舌を絡め合う。

 ランスは形の良い眉を顰めた。


「苦い……ごめんね。次からは水を用意しよう……」

「気にしないで下さい。それより、もう来て下さい。俺、もう待てない……」

「分かった……痛かったり、嫌になったら言うんだよ?」

「ならないから、来て下さい……」

「ユウ、ありがとう」


 熱くそそり立つそれを後ろにあてがわれた。無意識にそこに力が入る。ランスは身体を屈めて優にくちづけを与えた。


「……っ、ん……」

「いっぱい、キスしよう」


 キスのおかげで、優の身体に入っていた余分な力が徐々に抜けていく。そのタイミングで、ランスは自身を優の奥に向かってゆっくりと押し進めた。


「っ……あ……! 入って……る……!」

「っ……ユウ、ちょっと苦しいかもしれないけど、我慢出来る?」

「出来ます……しますから、全部、欲しい……」

「待ってね……」


 ランスは優の腰を掴む力を入れて、ぐっと熱のかたまりを押し付ける。優の後ろは、細いところ、太いところすべてを飲み込んだ。ランスは優の手を取り、根本に触れさせる。


「……ユウ、全部、入ったよ……」

「あ、あ……ランスさん……ぎゅって、して……」


 腕を伸ばして抱きしめ合った。最奥が痺れてじんとする。二人はくちびるを寄せ合い、とろけるようなくちづけを交わした。


「う、ん……ランスさん、動いて、下さい……お腹、いっぱいで気持ち良い……」

「痛くない?」

「はい……」


 中に異物が入っているという違和感はあるが、身体はそれ以上の刺激を求めている。優は欲望のままにランスにねだった。


「俺の、良いところ、擦ってください……」

「……動くよ」


 ランスが腰を動かす。

 ぐちゃ、と濡れた音が室内に響いた。


「ここだよね。指でするのと、どっちが好き?」

「あ……分かんない、です……両方、気持ち良い……」


 優の一点を攻め続けていたランスだが、不意に違う場所――奥に先端を当てた。突然の刺激に、優は目の前がちかちかした。


「ら、ランスさん……」

「奥も、気持ち良いと思うよ?」

「あ……!」


 優の足をさらに折り曲げて、ランスは奥へ奥へと侵入してくる。知らぬうちに涙が出て来た。それをランスは舌先で舐める。


「あ、あ、深いっ……!」

「ここ、子宮口かな?」

「ひ……」

「怖い?」

「す、少し……」

「じゃあ、ここはまた今度にしよう」

「それで、ランスさんは気持ち良いですか……?」

「うん?」

「ランスさんがしたかったら、俺、我慢できるから……気持ち良いなら、もっと奥、しても大丈夫です……」

「今のままで十分気持ち良いよ? だから、ゆっくり慣れていこうね」


 そう言うと、ランスは一度自身を優の中から抜いた。「え?」と優は首を傾げる。そんな優をよそに、ランスは優の身体をうつ伏せになるよう転がした。


「ランスさん……?」

「前にも訊いたけど……ここ、噛んでも良い?」


 ランスは優のうなじを指でなぞった。甘い刺激に、優は吐息を漏らす。


「あ……噛んで下さい……俺、ランスさんと一生、一緒に居たい……」

「ありがとう、ユウ。幸せに、なろう……」


 また、ランスが中に入って来た。今度は一気に奥まで突かれる。けれど、痛みは無い。ただ、顔が見えない体勢ということが少しだけ不安になった。

 ふ、と熱い息が優のうなじにかかる。

 ――あ、噛まれる……!

 思った次の瞬間には、ランスの歯がうなじに食い込んでいた。


「っあ……ん!」

「ユウ、噛んだよ。これで、ずっと一緒だ……」


 ぐりぐり、と後ろから揺さぶられながら優は幸せを噛みしめていた。

 ――嬉しい。つがいだ……。これからは、ずっとランスさんだけを感じて生きていくんだ……。

 噛まれた衝撃で優は達した。優は荒い息でランスに言う。


「ランスさん、向かい合って、したいです……顔が、見たい……」

「そうだね。その方が気持ち良いね」


 またランスは自身を引き抜き、優を仰向けに寝かせた。慣れて来たのか、優は身体に余計な力を入れることなくランスに身を任せられるようになっていた。

 ランスが入って来る時も、息を吐けば後ろを緩ませることが可能になった。


「ユウ、上手」

「……えへへ」


 褒められて嬉しくなる。

 優はランスの腰に足を回して距離を密着させた。ランスは驚いて、優を見る。


「ユウ? 積極的だね」

「俺、もういったから、次はランスさんがいって下さい」

「ありがとう……動くね」

「はい」


 ランスが動く。先程までとは打って変わって激しい動きに、優は悲鳴に近い声を出した。


「ああっ! やあん……」

「ごめん、ユウ……あんまり持たないかも……」

「良いです、から……好きにして下さい……」


 ぐちゃぐちゃと濡れた音が響く。ランスは良いところを擦りながら、激しく中を動いた。

 ――ランスさん、俺のこと求めてる……夢中で、俺のこと……。

 優は嬉しくなって、強くランスを締め付けた。ぎゅっと中が締まると、ランスそのものの感触がよりリアルに伝わってくる。


「あ、あ、あ!」

「ユウ、出すよ……ユウも一緒にいこう……」

「あ、一緒にしたら、駄目……」


 強く優自身を擦られて、優は甘い声を漏らした。

 駄目だ、変になる、けど、気持ちが良い……。

 

「ランスさん、出ちゃう……もう、いく……!」

「っ……」


 二人で同時に精を放った。

 どくどくと脈打つランスをゴム越しに感じながら、優は身を震わせた。


「あ、あ……」

「ユウ……気持ち良かった?」

「……はい、とても。ランスさんは?」

「良かったよ。凄く。僕たち、身体の相性も抜群だね」


 ふふ、と笑いながらランスは優の頭を撫でた。

 いつもの心地よさに優は目を閉じる。途端に、もの凄い睡魔が優を襲った。


「ん……」

「疲れちゃったね。ユウ、眠ろうか」


 ぐちゃ、と濡れた音を立てながらランスが出て行った。彼は避妊具の後始末をすると、優の横に寝転がった。


「もうちょっと、余韻に浸りたいです」


 優がそう言うと、ランスは目を細めて笑った。


「ユウが満足するまで付き合うよ」

「ん……」


 頭を撫でられ、優はまた目を閉じた。

 

「ランスさん、俺の頭、撫でるの好きですよね」

「好きだよ。ユウは可愛いから、ずっと撫でていたくなる」

「……ありがとうございます」

「身体、辛くない? 痛いところとか、無い?」

「今のところ、平気です」


 骨盤に違和感があったが、それは言わなかった。

 ランスと繋がった証しの怠さだ。今はそれがとても嬉しい。


「ユウ、もう眠ろう。きっと疲れている」

「ん……もうちょっとお話ししたいです……」


 そうは言うものの、瞼は半分下がってしまっている。ランスは優の額にくちづけると、そのままぎゅっと細い身体を抱き寄せた。


「僕も眠るから……出すと眠くなっちゃうよね」

「どうしてでしょう……」

「男だから、仕方ないよ」


 とんとん、と優の背中をランスは一定のリズムで優しく叩く。そのリズムが心地よくて、優は本格的に目を閉じた。


「おやすみ、ユウ」

「おやすみなさい、ランスさん……その、俺、今、とっても幸せです」

「僕も、とても幸せだよ。けど、明日はもっと、明後日はもっともっと幸せになれるよ」

「はい……楽しみです」


 見つめ合って、甘いくちづけを交わした。

 全身を駆け巡る満たされた気持ちを胸に、優は眠りの中へ旅立って行った。

 これからは、ずっとずっと一緒――。

 今夜はきっと幸せな夢が見られる、そう思った。

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