みづきの約束(観月家)

※現在非公開の本編エピソード『たかしの日常⑥』のネタバレがあります。まだ再連載が追いついておりませんので未読の方はご注意。






――やあ。来たんだね、ミケさん。


観月の家に入る所を見られていたか。

お察しの通り、恥ずかしながら、またこのボロ家で暮らす事にしたんだ。

僕と、他にもう一人、生まれたばかりの男の子なんだけど……ああ、待ってミケさん!

いくら放ったらかしで、家の掃除が行き届いていないからって、その足跡は、よろしくない。


ほら、足の裏を拭いて。

……はぁ、この肉球、ひさしぶりだ……



よし、じゃあついてきてよ。


さて、こいつが僕の子で、忍という。

かがり町の、新しい観月の子だよ。

ああ! ミケさん! 君は本当に子どもが好きなんだな!

この子、今はまだ眠っているけれども、目を覚まして、君を見つめたら、どんな反応をするだろう。かがり町で初めて出会う猫が、ミケさん。君であって欲しいと、ずっと思っていたんだ。


ふふ、満月鈴をそんなに揺さぶっても無駄だよ。

こいつ一度眠ると、何をやっても起きないんだから。今日の所は残念さ。


でも、もう少し。

この子がもう少しだけ大きくなったのなら、きちんと紹介させて頂くよ。


そしたらミケさん……またこの観月の家で、一緒に暮らさないか。


昔、ミケさんが僕の子守りをしてくれたように、この子の事も頼みたいんだ。

いいだろうか。


よかった。

この子、きっと君を、好きになる。

きっと猫を、大好きになるよ。


だから、それまでは……僕ら親子を見守っていて欲しいんだ。

優先順位だけど、まずは忍。

そして僕、隼人だよ。

よし。



いいんだね、じゃあ ……約束だよ。


 

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