「センパイ、恋愛小説を書く為に恋愛経験って必要だと思いますか?」

@10-

センパイ、恋愛小説を書く為に恋愛経験って必要だと思いますか?

「センパイ、恋愛小説を書く為に恋愛経験って必要だと思いますか?」



唐突に隣に座っている後輩に聞かれる。


「いや、必要ないんじゃないか、恋愛小説読む人なんて恋愛したことがない人がほとんどだろうし。」

「やっぱり、そんなものなんですかね?」


恋愛したことない人が恋愛を欲して恋愛小説を読むからそれを真に受けて売れてる。最近のブックレビューを見てるとそう感じる。


「ふと思った、何で唐突に話しかけてきた。お前とはほぼ初対面だろ。」

そう、彼女とは同じ図書委員ではあるが委員会で見かける程度。話した事もない。


「ムフフ~知りたいですか?センパイ」


この子いきなり態度変わったぞ。

可愛い女の子の後輩が欲しかったから別にいいんだけどさ。


「いや、別に知りたく無いけど。」

「えーなんでなんで~男のツンデレはモテませんよ。」


全く。余計なお世話だ


「あれあれ~だから恋愛小説なんて読んでるんですか?」


コイツ、恋愛小説書こうなんて思ってなかったな。

クソっこうなったら


「そういうお前も、恋愛小説に憧れて質問してきたのか?」

「ムッ…それを出すのは卑怯ですよぅ」


お、これはいける。


「それとも、僕に気があったとか?って言ってて恥ずかしくなった。」

「は?何言ってるんですかセンパイ。女の子が惚れるような容姿と性格持ってるんですか?自意識過剰変態センパイ。」


やってしまった。

ついつい調子に乗ってしまった。


「と、言うかお前は恋愛小説を書きたいのか?」

「お、変態さん。話を逸らしてしまわれるのですか?」


防御力は無いくせに隙をつくのはうまいのな。

回答が聞きたいのでとりあえずはスルーする。

すると、いたたまれなくなったのか彼女はまた口を開く。


「まあ、少し恋愛の妄想を文章化しようと思っただけですよ。一応文芸部ですし。」

「意外だな、サッカー部とかのマネージャーやってそうなのに」

「いえ、そんなことないですよ?マネージャーとかめんどくさいじゃないですか。」

「あ、そこ言い切っちゃう。あと、だんだんお前の性格分かってきたかも。要は面倒くさがりってことか。」

「いえ、ただ私のフリーダムな時間を侵略されたくなかっただけですけど。」


結局、同じじゃないか。そんなことも思いつつこのままだと同じ事を繰り返しそうなのでコマを進める。


「でも、何でまた突然小説を書こうと思ったんだ?」

「文化祭が近いから文芸部は作品集を配ろうとしてるんですよ。人数も少ないので私も書かなきゃいけなくて」

「なるほどね。それじゃあ頑張ってね。っと図書室を閉める準備するぞ。」

「センパイも執筆手伝ってくれるんじゃないんですか?この流れは」

「早く帰りたいから早くしろー」

「むっ、分かりましたよぅ」


閉館作業は戸締りだけなのですぐ終わる。

あとはこの鬱陶しい奴と別れて帰るだけだ。


「じゃあ、鍵をかけてっと。よし。じゃあまたな」

「あの、センパイ…もう少し話したいので一緒に帰りませんか?」


「職員室に鍵を返さなきゃいけないんだけど。玄関で少し待ってて。それで良ければ。」

「分かりましたセンパイ」


鬱陶しいけど断ったらめんどくさそうだし帰り位は付き合ってあげるか。今日限りの関係だから。


「遅いですよセンパイ。可愛い可愛い後輩が待ってるんですから急がないとダメですよ。」

「ハイハイ。」


面倒くさいので適当に答える。


「突然ですが、文化祭一緒に回りませんか?どうせ一緒に回る友達もいないですよね?」

「はい、喜んで。」


ん?僕とんでもない事口走ってないか?


そうやって僕の文化祭を回るパートナーだ決まった。

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