アナーキーすぎるタイアップSFファミリー映画……「マック」
――火星無人探査船が地球へ帰還。しかし、その探査船には宇宙人の一家が紛れ込んでいた!調査機関が大慌てする中、一家は施設を脱走。そのうち、はぐれた子供の宇宙人は、足の不自由な少年エリックに保護され「マック」と名付けられる。マックとエリックは交流を深めていくが、宇宙人を追う政府機関の手が迫りつつあり――
マク〇ナルド社とコ〇・コーラ社がタイアップしたETのパチモノ映画。それ以上でも以下でもない作品である。公開時期は88年と、ETの6年後としては遅すぎるような気もしなくはないが、ETを非常に強く意識して作られた映画である事は想像に難しくない。
ただし、愛嬌の存在したETと比較しても今作のエイリアンこと「マック」はめっちゃ可愛くない。実際に調べて貰って見た方が早いが、観客どころか子供受けも難しそうなキャラな時点で割と絶望感が漂っている。ETはまだ宇宙人として可愛らしさがあったが、こちらは家族で一挙に登場するので、さらに暴力的な絵面になってしまっている。
ただ、ストーリー自体は悪くはない。ETをなぞっただけあって、子供と宇宙人の交流もあって中々の雰囲気だ。おそらくデザインさえどうにか出来ればもっと感情移入できたかもしれないが……
しかし、タイアップ映画だけあって露骨な宣伝の意図が紛れ込んでいるのは否定できない。劇中、特に必要があるのかわからない流れで登場するマク〇ナルドや、マックたちが生命エネルギー補充としてコー〇を飲むと言った設定の数々は露骨すぎて笑ってしまう。
今作はゴールデンラズベリー章を受章した。監督のスチュワート・ラフィルには最低監督賞、友情出演したドナルドは最低新人賞が与えられ、興行収入では映画の製作費の半分を回収した程度に終わっている。なんともトホホな作品で、長らくソフトになっていなかったが(かくいう当方もワゴンセールのVHSを50円で買った)、現在はなんとブルーレイが出ているあたり、何だかんだで愛している人もいるのではないだろうか。
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