ワンタップワールド

@Crossfade

irregular world

悠山春翔はるやまはるとの最近の日課は『異世界に行くこと』。

手段はスマホで【.《ワンピリオド》】のアプリアイコンをタップするだけと、凄くお手軽である。

「っしゃ、行くか」

アプリを開くと【Hallo! irregular unit!】と文字が表示され、カラフルな色の光の線が春翔を包んでいく。ちなみにこのアプリ、初回起動時にはアカウント登録が必須である。

おい、異世界に行くのにアカウント登録ってどういうことだよ。


目を開けて周りを見回すと屋内ではなく屋外にいた。

この世界、何故かメニューバーがあり、HPゲージもあり、VRMMOと酷似したつくりであるが、VRMMOとは違う。

この世界は痛覚があり、体のつくりもちゃんとしている。先日殺人現場に居合わせてしまい、被害者の上半身と下半身が分裂していて、そこ一帯は血溜りになって、肉塊も弾け飛んでいた。切断面からは内蔵が零れていた。

流石にこのときは強い吐き気を覚えた。

以上の点からここは本物の異世界である。証明問題なら満点取れるわ。馬鹿か。

ちなみに、サントリアン《この町》にいる人間は、いや、人間だけではない。そこら辺にいるキツネだって、食用の牛だって現実世界と同様に命がある。即ち、この世界でも命に価値があるのだ。無闇に殺してはいけない、と平和主義者は定義する。

が、やっぱり人間なので、肉が食べたい衝動は押さえられない。

「飯を食べよう」

サントリアンで美味しい牛肉料理店がある。正しくは、牛肉に似た肉料理店だが、まあ、細かい事はいいだろう。

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