タイムマシン・ストーリー

泣きえもん

第1話

はじめに

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このお話は、どこから読んでも過去、そして未来。なので、どこまで読んでも今のあなたで、今の私です。ただ、短編の発表順は上から新しいお話になっています。



さっそくタイムマシンに乗船下さい。そろそろ出発のお時間です。


💎UFO

「だいたい迷信を信じこむ人ほど稲光をUFOだなどと言いだすんだ。全ての現象は科学的な説明がつく。科学第一に考えなければ地球は破滅することになるだろう」「先生、ご高察ありがとうございました」沸き起こる拍手を聞きながら彼は幕間から下がり、8本目の足をUFOのステップにかけた。


💎ゆめ

いつの間にか時間に追われる。気がつけばアウトってことも。セーフでしょ? と主張したってそれは時間の無駄さ。議論は時間を止めてくれないし、それどころか、余計な手かせ足かせを増やすばかりだから。

「あなたァ、その目! 何考えてたのぉ? そろそろ式が始まるってば。あたしたちの」


💎長旅

あの日母と別れた時、手を振る母の目は潤んでいた。間も無く列車がトンネルに差し掛かると車内は真っ暗になった。自分の顔が窓ガラスに映るのも一緒だ。あの日と違うのは私の白髪交じりの髪。そして、今度は私が手を振ったこと。それに目が潤んでいるのは私の方だった。


💎ツイッター君

クリスマスなのにオコタ番。ニャンが膝の上に乗って来る。「君ぃゴロゴロ言うと見透かされるぞ」ツイッターする。ジングルベ~ル スマホコールだ。「俺だけど」オレオレ詐欺か? いや、夕べやっとカレシができたんだっけ。存在感薄~ぃ。手鏡で顔チェック。嘆息「もっと薄いわ」


💎僕のメリークリスマス


「あんだ、なんも買うであげた事ねーが。買うでやらねば」「したら、うな買うで来いちゃ」その晩はコタツの上にロールケーキが置かれていた。小さなロウソクが一本。母は魚の匂いのする錆びた包丁で3つに切った。「うんめがや?」毎年今頃になるとあの晩のロールケーキを思い出す。




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タイムマシン・ストーリー 泣きえもん @marshigato

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