第3章 俺、レベルMAXだし、別に魔王とか倒してやっても良いけど?

【序】転生者、異世界を謳歌する!!

 トラックに跳ねられて死んだ俺は、天国へ召されるはずのところをド新人のアホのせいで地獄へと落とされてしまった。

 何せ一度死んでるもんだから、着衣状態で血の池を泳がされても、裸足で針の山を登らされても、シンプルに釜茹でにされてもただただきっついだけで死ねない。そんな生活を3日ほど送っていたところ、そのアホ野郎が言うわけだ。

「ごめんなさい、間違えました!」ってな。


 そのアホは泣きながら「ごめんなさいごめんなさい」を連呼するもんだから、優しい俺は許してやることにしたんだ。


 ただし、巷で流行りの異世界とやらに転生させろ。もちろん、色々オプション込みで、だ。



 さぁーって、楽勝過ぎる異世界ライフを満喫しますか!

 魔王がいる? ハイハイ、俺様にまっかせっとけ~!


 てなわけで。



 ……楽勝過ぎる。

 何これ何これ何これ。


「うっはぁ――――――っ! 異世界っ! 最ッ高ッ!」


 俺はもう何匹めかわからない赤ドラゴンの死体の上に腰かけて、両腕を高く上げた。ここいらじゃ『暁の死神』なんて異名まである、かなりの上位竜らしい。けれども、レベルMAXの俺様、迫田さこだ大翔はると改めディートハルト様の敵じゃあない。


 もう数えられないほどの赤ドラゴン(正式な名前は知らない。っていうか、あえて知らない方が恰好良くね?)を倒してきたが、その度にその辺で腰を抜かして(何ならお漏らしまでしちゃって)る女共が「素敵! 抱いて!」ってな目で俺のこと見つめるんだな。

 最初は律儀に相手をしてたんだが、さすがに俺の腰も持たない……というか、ちょっとこの辺の女(褐色肌)に飽きてきたんで、北の方へ移動しようかと検討しているところだ。

 

 北の方は雪のように真っ白な美人が多いらしいからな。ごくり。


 そう思って俺は舌舐めずりをした。


 いやぁ、異世界ライフ、楽勝過ぎる。こんなことならさっさと死んで転生すりゃ良かったな。チビデブキモヲタの脛かじりニートでも一発逆転だもんなぁ。


 うっひょー、ビバ異世界! ビバ新しい自分!


 待ってろよぉ~! 俺にベタ惚れのカワイコちゃん達!

 あとついでに魔王! まぁ、お前は最後の最後だ。

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