第22話

「なぎさには告白したりとかはしたのか?」



「してない。してないけど、するつもりもないな。」



「なぎさいま好きな人いるし、こうやってみんなで遊んでられるなら一緒にいられるだけでいいんだ。」



「付き合いたいなとは思うんだろ?」



「もちろん思うし、言おうと思ったこともあるけど、でもなぎさが幸せになれるのは俺じゃないんだよな。

だから翼がうらやましいよ。」



「え?」



「楓のことが大切でしょうがないってことがまわりにも伝わるし、

翼自身が、自分で楓を守りたいって思えてることが。」



そう言った悠真が、さみしそうに、すこし離れてしまったなぎさと楓のほうを見た。






「翼ー?悠真ー?はやくきてよー!」



すこし先でなぎさが呼んだ。



まわりに気持ちがバレていることには全く気づいてなかったけど(笑)



自分で楓を守りたいって思ってることは本当で、


でもそれは、好きだから、大切だからそう思うもんだと思っていた。



悠真の言葉は、いま全力で楓のことしか見えていない俺にとっては難しい。




でも俺は、自分で幸せにしてやりたくてしょうがないはずなのに、なぎさの気持ちを1番に大切にしている悠真がかっこいいと思った。




「すぐ行く!!一緒に見ようぜ!!」



なぎさに悠真が返事をした。



「悠真、かっこいいな。」



「は?(笑)何言ってんだよ(笑)

ただのヘタレだろ。」



「すーげー好きなんだな。もはや愛なんだろうな。」



「おまっ。よくそんなこと恥ずかしげもなく言えるな!(笑)

いや、てかお前そんなこと言うやつじゃなかったよな!(笑)」



「え?だって、そう思ったからさ(笑)」



「楓に似てきたんじゃねーのー?(笑)

じゃ先行くな!(笑)」



「えっおい!!」



いつもの悠真に戻って、なぎさと楓のところへ走っていった。




悠真にまで言われるんだから、楓と過ごすようになってから、俺本当に変わったんだな。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る