ヤンデレ☆クリニック

野口マッハ剛(ごう)

第1話 ヤンデレナースさん?

 俺は気の重たさで目が覚めた。正直に言ってつらい。今日は会社に休みを取っていた。重たい体を引きずるようにしてとあるクリニックに行くのだ。


 あ、なんかヤバい。全然気分が上がらないし、頭がボーッとする。なんか道を何回か間違えるし、大丈夫かな? 俺。


 クリニックの前に着いた。名前は、えっと?

 読めない。俺は疲れているんだろう。

 入ってみる。


「こんにちは、初診ですか?」

 受付のおばちゃんかな?

「はい」

「それじゃ、この紙に、記入をお願いします」

「はい……」

 気が重たいのに、記入っておかしくない? でも書かないと。

 10分ぐらい記入に時間がかかった気がする。

 受付に渡して、待合室を見回した。

 誰も居ない。ガランガランの待合室。

 俺ひとりだけ。

 すぐに呼ばれたので、俺は診察室へ。


「どうしましたか?」男性の医者だった。年齢は4、50代ぐらい?

「ちょっと、最近の体調が自分でもよくわからないです」

「ふむふむ」医者は何か書いている。読めない。字が汚ない。

「あ、患者さんだ。珍しい!」

「え?」俺は振り向いた。


 そこには、ひとりの若い女性看護師が。

 今、珍しいって言ったよね?


「まあ、大変! 顔がしんどそう!」

 うるさいよ! なんなのこの看護師さん?

 てか、医者は何も言わないのかよ?

 あれ? この女性看護師さん、目の色が明らか暗いんですけど? 俺よりもなんかヤバそう。


「私が悩みを聞いてあげる☆」


 えっ、タメ口? てか、ありえないだろ!

 このクリニック‼️

 帰りたい。

「私が受け止めてあげる」

 え? プロポーズ? 今、俺、告白された?

「あの、すみません! 他の病院に行くから!」


 すると、看護師さんの手には包丁らしき刃物が。

 俺はイスから転げ落ちた。

「なんなの? あなたは?」俺の問いに看護師さんはこう答えた。


「私? ひと呼んで、ヤンデレナースです☆」


 俺は反応に困った。

 あ、なんかヤバいんだけど、ここ。


 てか! 医者が何も言わない!? なんなのこのクリニック?


「さあ、私の治療タイムの時間ですよ☆」


 お前がやるのかよ?!

 てか、医者ああああああああああ‼️

 止めろや‼️



(続く)

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