世界を創りし偉大なお方

世界を創りし偉大なお方1


 (やっべぇすっげぇ…!なんか知んね~けど世界できた!!)


 ……


 ………


 …………


 (けど、どうしよ……?)


 *


 むか~し昔。遠いとお~い昔。


 何もなかったこの場所に、神が世界を創られました。


 その神様は、今でもこの世界にいらっしゃいます。


 皆様、初めまして。私はその神に仕える巫女。つまり妻。


 私の愛しい旦那様は、世界を創りし偉大なお方。


 なのですが。


 始めこそ巫女としての勤めを意識していましたが、今ではただただ純粋に彼が大好きで。


 彼のそばにいられさえすれば、私はそれで満足です。


 とはいえ私はお国の公認巫女。迷える民のため、神託を得ねばなりません。


 この国では政治の重要事項を決める時、神の意見が最優先されるのです。


 なので。


 「そういう訳だからお告げ下さいあ・な・た♪」


 精一杯の、かわい子ぶりっ子☆


 「事情は知ってるしかわいこぶってるお前はサイコーにかわいいけど無理なもん  は無理!

  なんでもかんでも俺に頼ろうとするな! 俺は政治のことなんか何にも

  わかんねーんだぞ!」


 「かわいいだなんて……ッポ」


 「よく自分で顔赤らめられるな……」


 「その技術に免じてさあ神託を!」


 「だから無理だぁって!」


 私の愛しい旦那様は、世界を創りし偉大なお方。


 けれどそれだけ創っただけ。


 民が思い描くような、万能なお方ではありません。


 私にとっては、そこがかわいいのですけれど。


 「そう言わずにお願いしますって☆

  後でサービス、しますから……って何言わすんですかぁ~!キャ~~!」


 「勝手に言って勝手に照れるな!」


 頭をパチリと叩かれてしまいました。


 「キャンッ♪」


 「キャンってお前なぁ…」


 旦那様は、少しあきれ顔です。


 とまぁ、お遊びはこれくらいにして。


 「では、いつもと同じでよろしいですか?」


 「ああ」


 「いつも同じじゃ芸がありませんよ?」


 「別に芸はいらねーだろ。ていうか、ホント俺にはど~しようもね~よ……」


 旦那様がそうおっしゃるのでは仕方がありません。


 「わかりました。ではいつものように」


 迷える民に、神託を。


 *


 『汝の信じる道を行け。いつの日か道は開けるであろう』


 ああありがたや、ありがたや。

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