転生しましたが悪役令嬢な上にデブスでした。
黒
第1話 婚約破棄されました
今日は私の13歳の誕生パーティー。華やかな料理がテーブルに並ぶ。会場の中央では色とりどりのドレスがまるで蝶のように踊っている。そんな中大きな声が響いた。
みんな驚いて声の方向を見る。
「お前との婚約をこの場にて破棄する!!」
そうみんなの前で宣言したのは私の婚約者であったカルロス・バード
バード公爵家の嫡男だ。
婚約破棄の宣言を聞いて私は思わず理由を尋ねてしまった。
理由などとうに分かり切っていたのに。
「理由?はっ、自分でも心当たりはあるだろう?いくらマクリーン公爵家の令嬢とはいえ、不細工すぎる。俺と婚約したいならもう少しマシな姿になってくるのだな」
そう吐き捨てると足早にその場を去って行ってしまった。
そこからはあまり覚えていないが、部屋に帰って泣き疲れて寝てしまった私はその夜、前世の記憶を思い出したのだった。
朝、目が覚めると私は鏡の前に立って自分の姿をまじまじと見つめた。
鏡に映った自分は自分でもひどいと思った。
太りすぎてだるまの様な体型。肌は「日向ぼっこが気持ちいいのです。」とメイドたちが止めるのを聞かず、日の当たるところでお昼寝し続けた結果、元は白いであろう肌は健康的な小麦色に。美白至上主義のこの世界において、小麦色の肌は致命的である。目は一重で開けているのかどうかも分からない程に細く、鼻は低く頬の肉に埋まってしまっているし、唇は上も下も厚く、顔の中でそこだけ主張が激しい。
髪は腰までの長さで、赤茶色。少しパーマがかかっている。
これはひどい。
改めてそう思うが、昨日の婚約破棄はパーティーが終わってからでもよかったのではないか。皆の前で大々的に言わなくてもよかったのでは?そう思うと悲しみより怒りを覚え始めた。
その日私は絶対に綺麗になって見返してやると心に決めた。
先ずは自分の良いところを見つけようと鏡の中の自分を見つめる。
・・・自分の顔を見つめていると頭の隅に何かが引っかかる。
(なんだろう。この嫌な感じは)
思い出そうと鏡の中を見つめ続ける。
・・・・・はっ!!
こ、この顔は・・・
『ドキッと夢見てプリンセス☆~いつか王子が現れる~』略して『ドキプリ』という乙女ゲームのカルロスルートに出てくる悪役令嬢ソフィ・マクリーンだ。カルロスの事が好きだったが、デブスなせいでカルロスに婚約破棄され、嫉妬に狂い悪質ないじめをしてくるはずだ。
結末はヒロインに対する悪質すぎるいじめのため、マクリーン家は没落。ソフィは平民に落とされたのち、耐え切れず自殺。
最後は自殺か。今の私なら平民に落とされたくらいで自殺などありえないが、今までの甘やかされて育ったソフィならあり得る。
それに私の嫉妬のせいでお父様とお母様に迷惑をかけるのは頂けない。
ここは何としてもヒロインをいじめないように、あまり関わらないようにしていこう。
それが一番いい気がする。
というか、ヒロインがカルロスルートに入らなければいいのだ。攻略対象は6人もいるし、カルロスはメイン攻略キャラじゃない。ヒロインがこちらに来る可能性はかなり低いのではないだろうか?
ふむ。ならば、私は自分磨きをひたすら頑張り、カルロスが悔しがるくらいに綺麗になればいい。
それにもしもヒロインがカルロスルートに入ったとしてもゲームが始まるのは今から2年後の王子の成人のパーティーからスタートなので、それまでに対策を立てれば良いだろう。
よし、そうと決まればまずはこの太っただらしのない体をどうにかしよう。
今日やることは・・・まずシェフの元に行き、今日から私が自分の分は作るから食事は作らなくていいことを伝え、日に当たらないように大広間を一時間ウォーキングして、顔面のメイクの仕方を考える。っとこんなものかな。
筋トレは今の体で無理にやるとかえって痛めてしまったりするから、もう少し減量してからだ。
私は早速ダイエットを始めた。
・・・初日から一時間のウォーキングは死ぬかと思った。
現在の評価
名前 ソフィ・マクリーン(13)
身長 153㎝
体重 74㎏
現在の評価:まずはデブなことと、小麦色の肌を何とかしましょう。とりあえず、清潔に見えるように心がけましょう。
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