第2話帰路

改札を出ると、駅に直結した区のビジネスビルに繋がり、そこを抜けるとまた、寒空の元へと出る。


帰路につく中、私の頭の中には死ねなかった絶望感ではなく、助けてくれたあの瞳に興味をもっていた。


「帰り、優くんのおうちよっていい?」          「なんなら、泊まっていきなよ」


カップルのいちゃつく声が耳に入る、普段なら気にならない周囲の様子が気になっていた。それは、終電を逃して五駅分、家まで馴染みのない街を歩いていたからかもしれない。


それどころか、家に近付くにつれて帰りを待つ義理の両親の事で気分が滅入ってきていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る