2017年3月、第11回放送採用ドラマ「無題」

◇ ◇ ◇


 ある日の出来事。

 定子が用事で基地を離れてしまたっため、その日の料理当番はくじ引きで決めることになった。そして選ばれたのがクルピンスキー。キャビアスープの前科もあり、


ニパ「気をつけろよ!」SE


 とニパがすかさず警告した。


クルピン「こらこら」SE


 さすがにあの頃よりは腕が上達したと、たしなめるクルピン。ほどなく出来上がった料理を最初に食べたのはラルだった。


ラル「まずい」SE


 その一言に、料理に手を伸ばしかけた全員の動きが止まる。そう簡単に料理の腕前は上がらなかったのだ。


ジョゼ「お腹空いたよー」SE


 ジョゼが悲しい声を上げる。


定子「はーい」SE


 するとそこに、用事を終えた定子がタイミングよく帰ってきた。定子は状況を把握すると、すぐに料理を作り上げた。


ラル「うまい」「よくやった」SE


 定子の料理を食べたラルは、彼女を称賛するのであった。


(おしまい)


◇ ◇ ◇



 記念すべき自作ドラマ第一弾です。

 このときの番組ゲストはニッカ・エドワーディン・カタヤイネン役の高森奈津美さん。

 今回のドラマではセリフSE(シーンエフェクト)以外の地の文を、番組のメインパーソナリティーである大橋歩夕さんに読んでいただきました。

 番組では以前より、ゲストに来ていただいた声優さんに、その方が演じるキャラのセリフをSEとして残していってもらっていました。

 そして前回の放送時、グンドュラ・ラル役の佐藤利奈さんが番組に残したSEを聞いているときに「あれ、これってセリフを組み合わせればドラマになるんじゃ?」と思ったことが今回のドラマを書くきっかけとなりました。

 脳裏に浮かんだアイデアは、たとえどんなに素晴らしいものだったとしても、アウトプットしなければただの妄想に過ぎなくなってしまう。

 アイデアを文章にして、実際に番組に送る。それが重要な行動だったのです。

 正直なところ、このドラマが採用されるとは思ってもいませんでした。

 番組自体はずっと聴いていましたが、番組へのメール投稿は初。おまけにウィッチーズシリーズの知識に関しても、熱心なファンに比べたら私が知っていることなんてほんの僅かしかない。

 そんな私が書いたドラマなんて、送るのは逆に失礼なのではないかとも思いました。

 でも、私は勇気を出してメールを送りました。

 そして次の週。ドキドキしながら番組をスマホで聴いていると……メールが採用され、ドラマが読まれたのです!

 その時の喜びをどう表現すればよいでしょう。ただただ嬉しく、何度も何度もドラマ部分を聴き返しました。

 ドラマの後の感想で「もっとキャラを増やすと、きっとこの人がまた書いて送ってくれるに違いない。ドラマを」と高森さんがおっしゃっていましたが、その言葉は私を大いに奮い立たせました。

 今後もドラマを書いて送るぞ、という目標になったのです。

 リアルではブラック企業に勤め、安い賃金でこき使われている底辺職の私。これ以降、番組にドラマを書いて送る行為は、疲れた身体と心を癒すと同時に、文章を書く修業の場にもなっていったのです。

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