しんねん


[佐藤悠基&石川実里&清水柊&伊藤薫子]

『あけましておめでとうございます!』

『今年もよろしくお願いします!』


1月2日、僕達は初詣に来ていた。

天気も良く、絶好の初詣日和だ。


「実里さんと柊さん、晴着なんだね」

「お母さんが着ていけってうるさくて……」

「わ、私も、友達と初詣、行くって言ったら……」

「いつもと印象が変わってすごいいいと思うというか……か、可愛いと思う!」

『ーっ』


[石川実里]

そんなそんな新年早々っっ!!

ム、ムリ!

ゆ、悠基くんこそ!

か、かっこいいんだから!!

……そんなこと言えないけど……


[清水柊]

か、かわいい、なんて、そんな……

晴着着ていくの、大袈裟かなって思ったけど、着て行って正解だったなぁ……


[佐藤悠基&石川実里&清水柊&伊藤薫子]

「あ、ありがとう……」

「ありがとう、ございます……」

「……あーあ、あたしも着てくればよかったなー」

「薫子も着る予定だったの?」

「一応、お母さんに着るか言われたんだけど、動きにくいしめんどくさいなーって思って」

「……薫子らしいな」

「まぁね~」

「じゃあ、初詣、行こうか」

『はーい』


神社の境内までは行列ができていたが5分ほど並ぶと、順番がやってきた。


「ねぇねぇ、ありきたりな質問していいー?」

「どうぞ?」

「悠は何をお願いしたの?」

「僕は……文芸部のこととか勉強のこととかかなぁ……薫子こそ何を願ったの?」

「あたしも勉強の事かなー、やっぱり受験近いとね?あとは……恋愛のこと……とか?」

「ーっ」

薫子はニヤッと笑いながら僕の目を見た。

そして何食わぬ顔で実里に同じ質問をする。

「実里は何願ったのー?」

「わ、私も勉強……かな。あ、あと……恋愛も……」

「えー!実里って好きな人、いるんだ!ちょっと意外かも」

「い、意外って……わ、私だって女の子なんだから好きな人ぐらいいるよ!」

「え~気になるなぁ~もしかして、悠だったりして!」

「ーっ、ち、違うから!か、薫子さんの好きな人も聞きになる!」

「あー逃げた!話変えたなぁ~、まぁあたしも教えないけどね~」

「む~」

「柊は何願ったの?」

「わ、私も、勉強、です……あ、あと、このゆっくり、口調をなおしたい、とか……」

「柊のその口調、あたし好きだけど?」

「私も可愛くていいなーって思うよ」

「や、やっぱり、会話する時に、ラグがあるなって、思うので……」

「柊を元気な子にする計画!とかどう?」

「げ、元気な子、ですか……?」

「そう!やっぱり柊は大人しめの性格だからさ、口調とかも性格から変えていくべきだと思うんだよね」

「は、はい……」

「だからさ、あたし達で協力して、柊の性格を明るい正確にしよう!みたいな!」

「な、なるほど……」

「みんなもいいと思うよね?」

「うん!明るい柊ちゃんも見てみたいかも!」

「僕も少し気になるかな」

「じゃあ決定!来週の週末、空いてる?」

「あ、空いてます……」

「私も空いてるよ~」

「僕も空いてるよ」

「なら、柊を元気な子にする計画、始動!」

「わ、私……が、頑張ります!」

「柊、その意気だ!」

「頑張って!柊ちゃん!」

「頑張れ~」

そんなこんなで新年早々柊を変える計画が始まったのだった……


初詣をした後、僕達はいつもの猫カフェに来ていた。

すぐに解散、という選択肢もあったのだが、薫子がどうしても猫カフェに行きたいと言うので、やってきたのだ。

みんな猫好きだから、反対する理由もなく……

「きゃぁぁ~かわいい~」

「写真、いっぱい撮らなきゃ!」

「か、かわいい……」

「……確かに可愛いな」

正月、ということで猫カフェの内装は変わっていた。

門松クッションの上で座っている猫とか、お餅クッションの上に座っている猫など、正月に関連するもののクッションが沢山あった。

中でも鏡餅クッションの上に座っている猫が可愛くて可愛くて……

僕達は約2時間ほど、猫カフェを楽しんだ。

「もうお昼だけど……どうする?」

「お昼ご飯でも食べに行く~?」

「私は、帰ろうかな……晴着、動きにくいし、あんまり汚すのも……って思って」

「わ、私も、晴着、こわくて……」

「そっか、そうだよな、わかった、今日はここで解散かな」

「また来週集まるし、それでもいいかもね~」

「じゃあ、始めにも言ったけど、改めて、あけましておめでとう、今年もよろしく!」

「あけましておめでとう~今年もよろしくね~」

「あけましておめでとう!今年もよろしくね!」

「あけまして、おめでとうございます……今年もよろしく、よろしくお願いします……!」

そして僕達は解散した。

僕はこの賑やかさが当たり前のように感じていたのか、来週が楽しみな気持ちと、冬休みが明けるまでの静けさが少し寂しいと感じていた……。



「……薫子ちゃん、急な呼び出しに来てくれてありがとう」

「まぁ暇だったからね、大丈夫だよ。それで、話って、何?」

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