地元では知らぬ者などいない有名な名家・西園寺家。そこの一人娘・清華はまさに容姿端麗で美少女と呼ぶにふさわしい令嬢であった。しかし、実は西園寺家の資産はほとんど失われ、常に食べるものに困っているレベルで、庭で野菜を自給自足しなければならない始末。
そんな彼女の秘密を偶然知ってしまったのが、学園の東條渉。渉は彼女に食べ物を与えたことをきっかけに仲良くなるのだが、渉のある発言がきっかけで清華は渉から告白されたものだと思い込んでしまう。そうと知らぬ渉は今までどおりの距離感で接しようとするのだが、どんどん清華の方から距離を近づけてきて……。
男女の機微にうといお嬢様な清華の日常での勘違いっぷりが本作の読みどころ。デートの最中に意味は分からないけどとりあえず目をつぶったり、渉に性的なことに興味があるか堂々と聞いてみたりと、本人が意味を良くわかっていないだけにずんずん踏み込んでくる。
ちょっと食べ物をもらうだけで、その人をいい人だと思い込んだりと、チョロすぎて不安になってしまうところもあるが、そこはご愛嬌。
お互いの認識がズレつつもどんどん親密になっていく、二人の甘々な生活をお楽しみあれ!
(「ああ……勘違い!」4選/文=柿崎 憲)