マクガフィン

高本マサレ

第1話 学園都市マナティクトの軌跡

この世界、地球に新たな力が生まれたのは何時のことだったろうか?

電力でもあり、火力でもあり、水力でもあり、風力でもあり、動力でもあるその力はのちに魔力、通称「マナ」と呼ばれるようになった。

魔力マナは地球の総人口の僅か数パーセントの逸材にしか持てない希少価値の高い力であり、無限の可能性を秘めている。

その謎多き力をどうにか解明しようと、多くの科学者たちは研究に励んだ。

だが誰一人としてマナの謎を解くものは居なかった。

しかしこのマナの使い道だけはハッキリと確信していた。

それはマナと共に地球に現れた「鬼」と呼ばれる存在を撲滅することだった。

鬼は海に、山に、村に、町に、何の前触れもなく突然と現れて目に見えるもの全てを破壊していった。

鬼の出現により世界の人口は半分に減ってしまった。

鬼には銃火器や人工毒薬は効果がなく、世界政府は手がつけられずただ地球が衰退していくのを見るだけという悪状況だった。

そんな時、一人の少女が鬼を倒すという情報が広まった。

その少女は人知を越えた力|魔力(マナ)を使ったという。

それからか、マナを持つものたちは鬼を倒すものとして扱われた。

時代は経ち、マナを扱うもの達を育成する機関が作られた。

その名も学園都市マナティクト。

全世界のマナを所有する者達を集め、鬼を倒すために育成する、国際協力機関である。

<hr>


2150年。現在。

この学園都市は設立時とは比べ物にならないほどの発展を遂げていた。

今年も、代理戦争の代理人としてマナを研究する為、この学園都市マナティクトに何人もの学生が門を叩きに世界各地から来る。


「楽しみで仕方がないの……」


冬を越してもなお風が冷たい季節というのにも関わらず、スカートも短く、半袖の黒ゴスロリ姿の背丈の低い女は、学園都市マナティクトで最も高い塔の上で、都市を操るかのように見下していた。


「今年こそお前さんの主に見合う者が現れるとよいな」


ゴスロリの少女は回りには誰もいない。

居るのは一つ、空中に浮かぶ黒い球体だった。

大きさはサッカーボール程度で、闇のように黒い完全なる球体だ。


「なぁ、マクガフィンよ」


少女はその黒き球体を「マクガフィン」と呼んだ刹那、その球体は姿を消していた。


「ふっ、難儀な奴よの」


ゴスロリの少女はそう言い、ニヤリと口角を少しばかり上にあげた。

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