第2話 怪しいLINE




 俺のスマホから電話着信音が鳴り続けている。

 ちなみに着メロは『ゴーストバスターズのテーマ』だ。

 そう、ついさっきスマホの着メロを変えたくてダウンロードしたばかりだったのだ。

 この曲をダウンロードして着信音に設定した後で、“そういえば『ゴーストバスターズ』の主演俳優の名前って何だっけ?”に至る。


 元来小心者の俺は、基本方針として非通知の着信はとらない。


 しかも、今掛かっている電話はただの非通知電話ではない。

 俺は着信を無視し続けた。

 『ゴーストバスターズのテーマ』は鳴り続けたが、俺は無視し続けた。

 微妙に心臓もドキドキしている。

 今は昼間の十二時だからまだいいが、これが真夜中だったら怖すぎて心臓麻痺でも起こしているところだ。




 やっと着信音が止まった。ホッとする俺。


 ……まぁ、偶然に決まってる、と気持ちを落ち着ける俺。



 さすがに広告クリックしただけで俺のスマホの電話番号がわかるわけがない。

 偶然にしてもタイミングがドンピシャすぎて本気で焦った。

 ああ怖かった。



 しかし次の瞬間、新たな恐怖が俺を襲う。



 見知らぬユーザーからLINE着信が!!




<友だちとして追加されていないユーザーです。>

<メッセージの内容にご注意ください>   

◆『はじめまして!』


◆『お電話を差し上げましたが、お出にならないのでLINEで連絡させていただきました』


◆『ご応募ありがとうございました。

 詳細をご説明したいので折り返しご連絡よろしくお願いいたします』  ”




 なんだって!!


 非通知でかけてきたくせに、電話番号で友だち登録してLINEを送ってくるとは!


 しかも、ユーザー名が空白になっていて、差出人が不明だ。


 いかん、心臓がバクバクしてきた……。

 怖すぎる。

 誰だかわからんが怖すぎる。


 怪しい広告クリックの後に、たまたま非通知電話が絶妙のタイミングで入っただけなのだと、そう頭の中で整理して落ち着きかけてた所に、これだ。


 安っぽいホラー映画みたいな展開じゃないか。


 こんなLINEはもちろん『ブロック』だ!



 ……と、思った俺だったが、なぜかこのメッセージに返信してみたい欲求に駆られた。



 恐怖心でいっぱいの俺の頭の中で、ほんのちょっとの好奇心が囁きはじめた。



 “ブロックはいつでもできるぞ。

 それより、気にならないか? 

 どうして俺の電話番号がわかったのか、聞いてみたくないか??”


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