第24話「一時の平穏」
Side 日本 航空自衛隊 レイヴン1 川西 幸斗 一尉
先の戦いの功績が認められて俺は昇進した。
ペアの桜木 美琴も二尉に昇進している。
と言っても使い道のない給料が増えて来ただけで特にやる事は分からず、哨戒飛行を続けている。
所属していた飛行隊は部隊再編のために一旦解散。
俺達はユリシア王国のミズリの港町の自衛隊基地にいた。
イージス艦に陸上部隊に空軍のための滑走路と何でもある。
ミズリの港町は初めてこのガーデニア大陸に乗り込んだ場所でバルニア軍の駐留艦隊や巨大なドラゴンとか夜中に奇襲してきた部隊とやり合ったりもした。
それが何だか遠い昔の事のように感じてしまうのはなぜだろうか。
市民達からは概ね歓迎ムード。
お約束ナ変な市民団体もいないので平和なもんだ。
種族は様々で人もいるが獣人、エルフ、ドワーフなどもいて本当に異世界に来たんだなと思い知らされる。
「君達も飽きないな」
そして俺はと言うと基地から離れた場所にある小高い丘で戦闘機の離着陸を見学していた子供達を見ていた。
周囲には興味本位で訪れている人々で賑わっている。
商売上手な人間が屋台などを並べて中には望遠鏡を販売しているやり手の商人もいた。
ここは空軍の戦闘機だけでなく、陸軍の兵器や海軍の軍艦も見渡せるらしい。
上に戦闘機や戦車のプラモなどを販売してみてはどうかと打診しようかと考えていた。
「わあ、セントウキのオジサンだ」
「ははは、オジサンね」
子供達にオジサンと呼ばれるのは未だに慣れない。
まだ二十代だが何度言ってもオジサンと呼ぶのでもうオジサンと呼ばれる事にしておいた。
子供達は好奇心旺盛で色々と聞いてくる。
戦闘機はどうやって飛んでいるのかとかと聞いて紙飛行機を作って飛ばしたら紙飛行機ブームになってしまったりもしたが。
「ここはジエイタイの色んな人達が来てる。センシャとかセントウヘリとか、イージスカンって言う船の人も来ていた」
「そうか――」
確かに同業者らしき人影はチラホラ見掛けて会話が弾んでいる。
息抜きには丁度良い場所なのかもしれない。
「ジエイタイって凄い強いんだね」
「バルニアの古代兵器も倒したって大人達噂してた」
「ああ・・・・・・正直言うと危なかったけどな」
バルニアの古代兵器。
浮遊城は現在日本政府が総力を挙げて解析している。
更にはレールガン搭載兵器などの導入も決定していた。
正直に言うと宇宙船のテクノロジーが無ければ危なかった戦いだった。
「戦闘機や戦車に乗れるようになるにはどうすればいいの?」
「うーんそうだな・・・・・・」
ふと息抜きで開催される自衛隊の基地祭でどうにか出来ないかどうか考えた。
昔はともかく今はVRだのARだのの技術があるし、それで上手く切り抜けられるか? まあそこは詳しい人に聞いてみないと分からないだろう。
(あ~あ。こんな日々が続けばいいんだけどなぁ・・・・・・)
などと考えながら子供達と話し合いに興じるのであった。
少なくともドンパチするよりかはマシだろう。
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