猫の集会

月のきおん

第1話

以前住んでいた所で不思議な体験をした。


何時も夫と一緒に、猫の首輪を付けリードもしっかりと繋ぐ。


住んでいたアパートの西隣には田圃がまだ残っていた。


夏になると蛙やミミズの鳴き声の大合唱。

私も猫達も初めての体験。


そんな夏の夜八時頃に私は何時も通り夫と猫の散歩の時間の身支度を整え、玄関のドアを開けた。


この時の猫達は目がイキイキし出す。

キョロキョロとそこら辺をしっかりとした目で周りを見ながら歩いてまわる。


真っ暗いから人間には見えにくいが、田圃の先には同じように野良猫が何処からか現れてこちらを見ている。


うちの猫は既に気付いている。猫が田圃の中迄入る。

私は慌てて猫の体を抱っこする。


猫は暫くそこらの匂いを嗅ぎ出す。

何処かの家の猫が、野良猫や他は犬達の匂いがするのだろう。

もう一生懸命だ。


ある日の夜も匂いを嗅ぎながら、その日は違う道に向かい歩き出した。

道に生えている、食べれる草を食べながら、暗い違う道に入る。


そこには十匹位居ただろうか。暗闇の道に猫の集団だ。

うちの猫がそこに行きたがり私も思わず一歩歩いた途端、さっーと猫達が暗闇の中に消えて行く。


家の建つ狭い間や、近くに建つアパートの中や周囲の一軒屋に入って行った。

この近所の猫達だろう。


確かに集会だった。


猫が先に行きたがったので私は咄嗟に近場で同じように散歩して居た夫に集会の話をした。


夫が一言、「あるんだよなぁー。こういうの、あるんだよ、本当に。」


そして私達はアパートの部屋に戻る。


その後もあの集会の場所に何回も行くのだが、猫達の集まっている光景は見ることはできなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

猫の集会 月のきおん @kioco

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る