スぺランカー魔王
黒猫
第1話 スぺランカー魔王見参!!!
それは、ある世界の物語
この世界は、魔王に支配されていた。
だがみんなは恐れているのではなく、好いている。
ちょっと前まで、人の王がこの世界を支配していた。
階級差別、男女差別etc...最後には異種族の奴隷的扱い誰かが立ち上がらなければならないと皆が思っていたその時に、立ち上がったのが今の魔王フルカ=オルカだった。
人の王自体が強いわけではなく、その側近がとてつもなく強かった。
魔剣ヴァルツ=カイルで何とか倒すことができた。
最後に王を仕留めようとしたところ、
「命だけは、助けてくれ。そ、そうだお前の望むものをなんでもやるから。な?だから命だけは」
そうか…ここまで腐っているとは思ってなかった。
魔王は、一切の躊躇をせずに王の首をはねた。
そして、街の中心にある時計塔にその首を掲げた。
「今日からは、我が王である。一切の差別を禁ずる。これを破ったものには、死を与える」
恐怖支配は好きではないが、ある程度安定するまで行うしかあるまい
それからちょくちょく、魔王は街へと出かけ住民と良好な関係を築いていった。
「あら魔王さん。おはようございます」
「うむ。おはようなのだ」
「あっ、魔王さんおはよー」
「うむ、おはよーなのだ。いいこにしていたか?」
「うん!!」
「ではこれをあげるのだ」
魔王は、ポケットから飴を取り出しその子に与えた。
「ありがとう」
頭をわしゃわしゃっとし、魔王は立ち去って行った。
「これは、これは、魔王様おはようございます」
「様付けはやめてくれ、モル」
アンティーク店を営んでいる獣人族のモルという青年に砕けた口調ではなす。
「いやいや、フルカ様がいたから今こうして俺が居られるんだ、様付けくらいさせてくれよ」
なぜ、こんなにも砕け口調なのかというとモルとフルカは幼馴染で親友なのだ。
「親友にそう呼ばれると寒気がするんだ。だからやめてくれ」
「ははは、流石にからかい過ぎたか」
とりあえず店の中に売っているものを見て回ることにした。
店内には、ちらほらと人間のお客さんや、獣人のお客さんが見受けられた。
「うむ、どうやらうまくやれていそうだな」
ふと、無性に気になるものがあった。
「ふむ…スペランカーの指輪?なんだこれは」
「ああ、それか?それをつけるとスぺランカー状態になるんだよ」
俺はスペランカーがわからないのでモルから説明を受けた。
「なるほど、ようするにこれをつけると簡単に死んでしまうんだな」
「そういうこと、下手に処分できないのが困りもんなんだよね」
確かにそうだな、誰かに回るよりも俺が持ってたほうがいいか…
「よし、これを買おう」
「マジか?流石にやめておけこれだけは売れない」
「安心しろ、誰もつけるなんて言ってないだろ」
「本当か?」
モルは昔っから心配性だしな…
「ああ、本当だとも」
「じゃあ、親友を信用して売るよ?」
「ああ、それでどれくらいなんだ?」
銀貨2枚を払い店を出た。
少し歩くと、子供たちが集まっているのが見えた。
気配を消して近づくと一人の子供を元貴族の子供らしい奴らがいじめていた。
「おい、くそども。よってたかって一人をいじめるのは楽しいか?」
底冷えするような声音で元貴族の子供たちに問いかけると、皆一斉に震えだし、中には漏らすものもいた。
「おまえら、死にたいか?」
フルフルと首を横に振っている、
「そうか、今回は見逃してやるが次こんなことをやってみろ。生きて帰れると思わないことだな」
話が終わると一斉に散っていった。
「大丈夫なのか?」
「あ、ありがとうございます」
ボロボロになった体に治癒魔法をかけてあげ、謝罪をした。
「怖がらせてしまいすまなかったのだ。お詫びと言っては何だが好きなものを買ってあげるのだ」
「本当?」
「我に二言と虚言はないのだ」
売店をめぐり、串焼きやアクセサリーを買ってあげた。
「ありがとうございました、楽しかったです」
「そうか、ならよかったのだ。それに我も楽しかったぞ」
出会った場所に戻ってきて別れた。
「さようなら魔王さん」
「さようならなのだ」
「ふう、この口調なかなかしんどいな。それよりも…」
流石に元貴族の子供たちは簡単に変わらないか。
どうしたものか、一掃するわけにもいかないし。
若いころから他者を見下す快感を覚えてしまったゆえにああなるのか。
どうしたものかと悩んでいるうちに我が城についてしまった。
周囲の家と変わらない二階建ての家が我が城だ。
大体自分だけいい場所に住もうって思うのが駄目なんだよ。
一人で何でもできるし、このくらいの家で十分だよな~。
前の王がいた城はぶっ壊し、街の繁栄の資金にした。
「つかれたー。今日はもう寝よう」
寝室に行き、俺は瞼を閉じた。
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