模索 3

 いつもの生存確認を入れる。

「大変なの。留守中に泥棒が入ったようなの」

「警察に?」

「何もに盗まれるようなものはない。でも心配なのでボンのところに泊めてもらっている。預かっているものはボンが店の金庫に入れてくれた」

「店は?」

「フミコが一緒に出ているから安心」

 頭取がまだ悪あがきをしているのだろうか。それならカオルが心配だ。今日は大阪の記者が東京に来ているので夜に新宿で会う。途中に探偵に電話を入れてカオルの安否を調べてもらうことにした。今日は黒縁眼鏡にスーツでサラリーマンの群れの中にいる。カメレオンのように安全だ。

 約束のスナックに入る。記者が奥のテーブルで手を上げる。ここはカオルとよく来ていた私のマンションの近くのスナックだそうだ。カオルに寄るように言われている。どこか懐かしい感じがする。

「久しぶりだね?寿司盛りにする?」

「特別に作ってくれていたそうですよ」

 記者がすでに色々と聞いていたようだ。

「昨晩に来ていて今朝は本社の担当記者と検察に出かけました。検察の上の方から圧力がかかっているようですよ。それで警察が捜索願に基づいて関東やくざのがさ入れをしたようです。それとタイに行ったという組員を引っ張ったようです」

 サングラスの男をやったのはやはり関東やくざと警察も掴んでいるようだ。

「マネージャーとも会いましたよ。それでこの写真を貰ってきました」

と頭取の鎌倉の別荘の写真を出した。マネージャーには今カオルが監禁されているホテルをすでに教えている。きっと会いに行ったのだろう。

「頭取の別荘ですね?」

「この写真を拡大すると2階の窓に『白薔薇』のママが映っているんですよ。これは明日の雑誌に乗せます」

「なら合併の話も添えてください」

 会長の話の中の要点をまとめてきた。とにかく頭取と総理を縛り付けておくべきだ。そこから次の糸口に繋げたい。













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