真相 7
何度か根回しを行ったうえ、新聞社の車で大阪地検に向かうことになった。車の中であの記者が朝刊を見せた。
「雑誌の記者が朝刊の一面記事を書くのは始めただと言うことです」
彼の名前が入っている。新聞の記事は今朝私が地検に出頭したと言うことで、今までのITMファイナンス事件を整理して私の証言の重さを伝えている。本番は週刊誌の方で載せるようだ。そのゲラ原稿を車の中で見せる。ここには私が逃亡して現在に至る経緯が書かれている。
「ここの監禁についての記述は私も記憶にはありませんが、私をひき逃げしたのは黒サングラスの関東やくざで伊藤の配下と調べがついています。それに『白薔薇』のママは黒サングラスに狙われていると言ってます。伊藤とママが共謀してと言うのは?」
カオルを悪者にしたくないと言う意思が働いている。
「写真の頃伊藤とママは組んでいた時期があるですね?」
「ええ」
「それと担ぎ込まれた病院の名前は伏せてください。迷惑がかかります。金融屋も同様です」
「分かりました」
即座に赤を入れていく。
「今日は?」
「東京から来ています。それと指名手配はされていません。任意の出頭です。記憶喪失の件は伝えてあります」
ゆっくりと車がビルの地下に入っていく。警察官がすでに警備態勢に入っている。
「地検の話の話せる範囲でよろしく」
私は頷くと1歩踏み出す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます