真相 8

「掛けてください」

 見晴らしの良い部屋の大きなガラス窓から大阪の町が見下ろせる。正面の席に検察官、その横に事務官がパソコンのキボードに指を置いて待っている。検察官は附箋のたくさん付いたファイルを順番に並べている。

「サングラスの男に車を当てられたのはこの時期でいいですか?」

 日付を示す。私が頷く。

「その前の記憶は?」

「ありません」

「その時持ち物は?」

「黒鞄です」

「何が入っていましたか?」

「200万少しの現金です。他は何も入っていません」

「その鞄提出してもらえますか?」

「ええ」

 今度はファイルを置き換える。

「『白薔薇』のママとは会ったことがありますか?」

「ホテルの取引で偶然に」

「その時顔を思い出しましたか?」

と日付も見せる。

「いいえ。その日付だと思います」

 どうもすでにカオルの調書を取っているようだ。

「東田透はあなたに新堂修司だと告げましたか?」

「はい」

「それから合わせて何度会っていますか?」

「今回の写真と盗聴を貰った2度です」

「食事を済ませたら1時からお願いします」









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